平日の午後、いつもの街はひっそりと穏やかに佇んでいる。
多くの人が当てはまる週休二日制の休日、つまり週末は常に人が溢れかえっているのに、平日になると途端に静かになる。
健康診断で合法的に平日半休をもぎ取った私は、せっかくだからこの街の一番人気の喫茶店で時間を潰すことにした。
単位制の大学生、暇を持て余してるご婦人、定年を超えたらしきご老人たちはいるものの、流れるジャズのBGMにふさわしい静かな時間が流れている。
慣れない注文にまごつきながらも、ようやくカフェモカを手に取り、一番広いソファに座り込む。
本屋も近くにあり、買った本を読むこともできるが、私は一週間前から積んでいた借りていた文庫本を鞄から取り出す。
それを読みながら、暖かな日差しに照らされて私はソファに身を埋めた。
やりたいこと
記録しておいてるはずなのに
いつのまにかやりたい気持ちは過ぎちゃってて
今では完全に重荷になっているものばかりだ
なんで私はこんなに気分屋なんだろう
確かにあの時はやりたかったことだったんだけどなぁ
目が覚めると、窓が開いていた。
あぁ開けっぱなしにしていたかぁ、防犯に悪いなぁと思いながらカーテンを開けた。
温かな光と朝早くから登校する学生たちの話し声が聞こえる。
心地いい朝の空気に包まれながら、私はようやく身体を起こした。
カッコいい言い方をすれば、人生の岐路に立っている。と思う。
上司のお膝元に甘んじて今の生活を続けるか、転職をして全くの新天地に行くか。
戻るか進むか。
性格がネガティヴ寄りだから不安なことはいっぱいあるけども、自分が一番やりたいことをやるその挑戦をしたい気持ちもある。
運命の時は迫る。
明日地球が滅ぶとしたら、どんなことをしますか?
そんなありふれた、でも可能性は0ではない問い。
キミといつも通りご飯を食べて、ゆっくり眠ろうかな。
とあなたは言う。
ほんとにそうなったら絶対違うでしょと笑いながらも、あなたのその暖かい眼差しに心が揺れる。
明日地球が滅んでも、キミと。