嫌味を言われると、胃がきゅっとなって嫌なことしか考えられなくなる。
根がネガティヴだから、そんな最悪なことをいつも思い出してまた胃が痛む。
生きづらい。
はあ、もう死ぬほうがマシかもな。
って思ってたのに、日が経つとまた忘れて職場に戻ってしまう。
なんで嫌なのに、辞められないんだろう。
行動に移せない自分も、とことん嫌になる。
え?秘密?ないないそんなん!
あたしはそんなんすぐバレちゃう人間だからさ、隠そうと思ったって無駄だってわかってるじゃん?
ね、意味ないんだって。
だからぁ、この話はおしまい!ね!
これが彼女との最期の会話だった。
秘密はない、と言っていた彼女は、病気で呆気なく亡くなってしまった。
優しさからの嘘だとはわかっているが、嘘を信じてしまった己の未熟さがもどかしい。
人は皆、誰にも言えない秘密を抱えている。
1K、ユニットバス付きのこのマンションの一室が私の根城。
人を呼ぶには少し狭いけど、この空間の中だけは何をやっても自由なんだ。
夜にポテチ食べてもいいし、友達と長電話と夜更かししても良い。
どこへ出かけるにも自由だし、門限も伝えなくていい。ああなんて素晴らしいんだ!
……というのを、今の私が書いてるって思うとなんだかおかしくなっちゃうな。
今の私は結婚して、自由な一人暮らしとはサヨナラしてる。
たまーにこの時もよかったな、って思う時もあるけど、今の生活を離れる気も、ないかな。
恋多き女だからさ、失恋とかしょっちゅうなのよ。
こないだ一目惚れしたカフェの店員さんだってさ、こないだ指輪してるの見ちゃったしさ。
追っかけてた推しもスキャンダル真っ盛りだしさ、もう私の心はボロボロなわけ。
はあぁ、もう新しい推し見つけんとやってられんわー。
え?あんた?
あんたはただの旦那だし、スーパーウルトラ完璧な私の推したちと一緒にしないでちょうだいよ!
家のリビングで、妻がそう嘆いていた。
妻の恋愛事情は、相変わらずよくわからない。
正直と捻くれ者
この属性は反対のようで本質は同じように見える。
正直に生きれば生きていたいけど、本音を隠さないといけない場面もある。
もちろん、どれが正解かはわからないけどね。