あの、私のこと愛してますか?
随分と急ですね。もちろん愛してますよ。
ではそこから飛び降りれますか?
ここ5階ですから無理ですね。あと4階分は低くしてください。
では私のためにノーベル賞を取ってくれますか?
私の頭では無理ですね。あと私文系ですし。
文系でもとれますよ?
文学賞でしょう。残念ながら私に文才はないので無理ですね。
では私と駆け落ちしてくれますか?
うーん無理ですね。私にも親がいますし、未成年の私たちではすぐ捕まるのがオチでしょう。
では、私のためにお菓子をたくさん買ってきてくれますか?
あなたが虫歯になってしまうので無理ですね。
もう、私を愛しているんでしょう?あなたの愛は何ができるんですか?
そうですね。あなたを愛することでしょうか。
はぐらかさないでください。
とんでもない!私はあなたを愛しています。だからここには劇場のチケットがあります。
え、それって今話題の舞台の?
行きたがってたでしょう?
…最初からそれを出せばいいんですよ。
素直じゃないのはお互い様です。
…ぐぬ。
さ、帰りましょうか。
『愛があれば何でもできる?』
子供のままでいたい
実際、私は子供なのだ
それなのに背中の荷物はどんどん増えていく
私は子供のままなのに周りは大人になっていく
それだから大人の皮を被ってみた
いまだごわごわしていて馴染まない
だが、脱いでしまうわけにもいかない
いつか馴染んで、境目も見えなくなるのだろうか
いつか、真っ直ぐ立てるだろうか
子供のままでいたい、そう思わなくなるのだろうか
なんとなく、それは嫌な気がした
『子供のままで』
あっ流れた!
ええっ!
はは、君ってほんとにタイミング悪いねぇ。
くそ、これで3度目だ。流れ星はどれだけ僕に見られたくないんだ?
私としてはこんなときにホットミルクを用意しに行く君に驚きだよ。もしかしてわざとやってる?
そんな訳ないだろう。今日は冷えるし、長丁場になるだろうからね。ほら、君の分だ。
お、ありがとう。はぁ、あったまるなぁ。
そうだな。
流れ星に何願う?
んー。卵が安くなりますようにとか。
うわー夢がない。これだからリアリストは。
リアリストってそう意味じゃないだろう。そういう君はどうなんだ?
あーそうだな。ずっと君といられますようにとか?
キショ。
ひっど!
好感度稼ぎが露骨なんだよ。あとキメ顔がうざい。
本心なのになあ。
どうせなら叶うかわからないことを願えよ。
うーん。なんだろうなぁ。
なんだろうなぁ。
……あっ流れた。
『流れ星に願いを』
なんてことだろう
貴方にこんな感情を抱いてしまうなんて
私は前世で何の罪を犯したというのだろう
親も、社会も、許してやくれないというのに
何度だって勘違いだと思った
だと言うのに、だと言うのに!
たとえこの気持ちが間違いだったとしても
貴方ばかりを映す目も
貴方の声ばかりとらえる耳も
貴方を前にすると途端に動かなくなる口も
少し触れるだけで沸騰するように熱くなる手も
貴方が親しげに誰かと話すたびに靄がかかる心も
全部全部事実だと言うのだ!
くそったれ
実の■■にこんな気持ちを抱くなんて
嗚呼、気持ちが悪い。
『たとえ間違いだったとしても』
君の目から雫が落ちた
きらきらとしていて宝石のようだった
僕はそれを拾って持ち帰ろうと思った
大切に飾ってやろうと思った
思ったのだが
君との距離があまりにも遠いものだから
どうしようかと思っていると
ぴちょりと雫は地面に落ちた
『雫』