NoName

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1/23/2024, 4:14:07 AM


おじいちゃんが譲ってくれた
タイムマシンはポンコツで
どこへ行くのか分からないこともある
望んだ場所に行ける確率は7割
人生と一緒だって
おじいちゃんは笑ってた

小さなことだけどね
できなかったことを叶えてくるよ
明日
最初で最後の旅に出る

1/22/2024, 4:32:40 AM


黒にすっかり飲み込まれてしまえばいい
「夕日のオレンジと闇のコントラストが
寂しいんだ」
そう言ったら
「どうして?」と
無邪気な顔をする君は世界の中心

「輪切りにしたミカンにチョコかけたお菓子はすきでしょ? 一緒なのに」と
笑う君が教えてくれた
日常を少しだけキラキラさせる魔法
例えば
ドーナツの「穴」は食べられること
枯れ葉と霜柱は踏んで歩くこと

会いに行こうと思えばすぐにできたのに
変な意地を張って
先週は海の底に沈んだ
ヒトデの数をかぞえたってちっとも楽しくない
君が迎えにきてくれるなんて
千に一つもないけれど

もう夜になったなら
君のいる美しくやさしい世界に帰る

1/13/2024, 2:33:27 PM


出掛けよう
何も持たなくていいから
むしろ身軽な方がいい

オレンジ色の夕日に
木々が影絵みたいになって
行ったこともないサバンナを想像する

雪を見たいっていう
君の世界はポップで色鮮やか
ガムボールマシンみたい

銀世界
「寒い」って肩を竦め笑った君の上には
ずっと昇ったままの三日月

数をかぞえる
深く潜っていけるように
息を止めて目をつむって

1/6/2024, 12:14:23 PM


「よいお年を」
そう言ってそれっきり
きっと「寒いね」とか言いながら
日の出を一緒に見るはずだったのに

気持ちがほんの少しすれ違っただけで
こんな遠くにきてしまった

もしできるなら
空が青い鏡のように晴れた日に
幸せだなとか思えたら
ずっと一緒にいたいと伝えるんだ

12/30/2023, 10:02:09 AM


今日も満員で、周りからのお喋りが聞こえる。
「おはよう」
「おはよう、今朝も寒いね」
いつもと同じ挨拶を交わす。
「そろそろ、マフラーが必要になってきたね」
「冬って感じだよね」
外はだいぶ寒くなってきたみたい。朝晩の冷え込みも厳しい。
「そういえば……」
真ん中にいるコの方を見て、声をひそめる。
「あのコ、調子悪そうじゃない?」
「うん、顔色悪いよね……」
「こんなにぎゅうぎゅうじゃあね……」
「早く、出たいよね」
そんなことを言っているうちに、真ん中のコは運び出された。
「やっぱりね」
周りのコたちもつられて調子を悪くしているみたいだ。みんなでいるのは楽しいけれど、あんまりにくっついているのはよくない。
(明日は……)
最後の日だと誰かが言っていた。何が最後なのかは分からないけれど、みんな外に出られるといい。

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