・1『静寂に包まれた部屋』
帰ってきたら誰もいなかった。
飼っている猫もいなかった。
おかんはどこいったんだ?
【続く】
・5『別れ際に』
「いいから帰んなさい」
と少年に言った。少年は勢いよく駆け出したかと思うと
イチョウの葉を集めて寝転がっている私の上にかけた。
どーゆー意味があるのだろう……?
「風邪ひかないでね!」
そう言ってまた勢いよく駆けていった。
「ユーレイだから平気だよ!ありがとうー!」
イチョウの葉から私を責める声は一つも聞こえず
私は安心して目を瞑った。
【終わり】
・5『通り雨』
イチョウの葉の上で寝転んでいると
少年に声をかけられた
「何してるの?」
「幽霊に声なんてかけちゃいけないよ」
少年にはやはり見えてるらしい
「もうすぐ雨降るよ!」
そうは言ってもここから離れられないのだ。
少年はうちに一緒に帰ろうと申し出てくれた。
でもなあ……まんまと(憑いて)行っていいんだろうか?
雨が降ってきた。
【続く】
・4『秋🍁』
幽霊の私でも季節を感じる。
涼しくなったのだ。
ジャングルの上にいた少年はあれからも時々目が合う。
怖い思いをしていないといいが。
特に表情はよくわからない。反応がないのだ。
こわいなら近づかないのだが私はこのあたり30メートル四方しかうごけない。つまり公園をぐるっとするくらい。
彼は公園に来るのでまあ怖がられてはないのだろう。
イチョウの葉が落ちる。誰も気に留めないので葉っぱの上で横になる。
そうして耳を澄ますとまた自分を責める声が聞こえるのだ
【続く】
・2、3
『ジャングルジム、形の無いもの』
市の職員が公園の遊具の安全性を確かめに来ていた。
じゃぶじゃぶ池の試運転も行っていた。
夏になれば子どもたちで賑やかになるだろう。
ジャングルジムの上に子供がまたがっている
眩しくてよく見えないけど明らかに私を見ている。
幽霊の私を
【続く】