・2『空が泣く』
母の遺影の前に切った小玉すいかを置く。
俺と親父どのも頂く。
「おいしいねぇー」と親父が言う
早く帰ってきて良かった。夕立ちがきそうだ。
洗濯物を取り込もうとした時ちょうど雨が降ってきた。
【終わり】
・1『君からのLINE』
【ふふふふすふすふるるふ
ぬぬぬくくぬふふる】
↑
父からのLINE。
多分無自覚。
おーい、おやじ。。
なんか触ってるぞ。
【ごめんね
間違いたみたい】
【こだまのすいかかむってきてくれる?】
小玉のすいかを買えばいいの?
【そう】
オッケー
俺は八百屋に寄ることにした。
【続く】
・3『命が燃え尽きるまで』
「その恋は貴方の身を滅ぼすでしょう……」
妻は続けた
「助かりたいですか?」
占い師さん、僕はどうすればいいですか
「妻を大事になさい。アイスを買ったり、エアコンや換気扇の掃除をして、たまにケーキを買うのです……」
わかりました。その通りにします。
私は妻にハーゲンダッツを渡した。
僕はこの人の夫で良かった。ずっと一緒に暮らしていこう。
【終わり】
・1『カレンダー』
カレンダーの裏に妻が落書きをしていた。
いつもいらない紙やコピー紙で落書きをする人だ。
カレンダーの裏には『占いはじめました』の文字と
水晶玉を覗く女の絵が描いてあった
【続く】
・2『本気の恋』
私は占ってください。と妻に言ってみた
妻は卓上時計を水晶玉に見立てて「見えます……」とやってみせた。
「あなたは本気の恋をしていますね」
【続く】
・6『喪失感』
大切なものを作らなければ失った時に悲しまなくて済む。
期待しなければガッカリすることもない。
私はもう学んだ。
神様の子供になりたい。それが叶わないなら
『今の』父親から離れればいいんだ。
私は決心した。
私の染めたハンカチは恥ずかしいと言われ
父親の車のメンテナンスでオイルを吸うのに使われた。
悲しくない。
私は母を探さない。
父を持たない。
大丈夫。生きていける。
私は私を信じる。
【終わり】