山百合

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5/25/2024, 10:19:40 AM

・4

昭和53年のS県の河川敷に着いた時
雨が降っていた

『降り止まない雨』

川は濁流となり勢いを増していた
肝心の【木】は私の知る姿と大きさも何も変わってないように見えた

ただ青い実を付けていた

【続く】

5/24/2024, 2:09:54 PM

・3

私は自身が育てていた
【木】に飲み込まれた

その【木】は低木で人間一人を飲み込める力も容量もあったということだ

新薬開発の為の研究材料であった
意思と行動力を持つそれの
幹の中に入り

『あの頃の私へ』

私は木の中から
昭和53年にまで遡った

その【木】が生まれた時代まで

【続く】

5/23/2024, 1:31:49 PM

・2

メキメキ……ッ

木の幹から破裂音が聞こえたかと思うと
枝ががまるで蔦の成長を早送りで見るように
クネクネと動き、
まるで支柱を探すように私の方に向かってきた

『逃れられない』

そう悟った

私は自身の研究の為に犠牲になるのだと思った

【続く】

5/22/2024, 2:49:20 PM

・1

『また明日』

私はそうFに言って会社をあとにした

翌朝出社するとFの姿が見当たらなかった

欠勤か?と思うと連絡があった

「もうすぐ成りそうだから見守りたい」
ということだった

成る?
一体何が?
電話のむこうでメキメキ……ッという音がしていた

【続く】

5/21/2024, 12:38:31 PM

『透明』

スケルトンなファッションアイテムが
流行ってました

透明な腕時計
透明なベルト
透明なケータイ
透明なバッグ
透明なヘッドホン
透明なパスケース

廃れてしまいました

7色に光るラメの記憶だけが残っています

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