5/9/2024, 1:24:08 AM
未来のことなんて誰にもわからないけれど白か黒かなら白がいい。なんて、あたりまえのことを言うひとには誰かを刺す気なんてないのだろうし、だからきっと息をするように人を刺している。
刺された傷口がひらくのは明日かもしれないし、一年後かもしれないし、ずっと気づかずに、或いは気づかないようにして、ただほほ笑みながら白い未来を歩いているひともいる。真っ赤な足跡がみえるのは後から来た私達だけだ、来た道をふり返らない人の脚はいつも傷だらけだ。
太陽がまぶしくて背を向ければいつも黒しかみえないのは私の影がどこまでも延びているからで、一寸後の闇を断ち切るには鋏が必要だ。どこに落ちているのかもわからないそれを探し回っているあいだに秋は過ぎゆく。
桜が散るたびに終わりつづける。終わって、終わって、どこまで終わりつづけても、たとえどれほど遅くとも、いつかあなたがあなたのための武器を手にすることを祈っている、眠る時間の前にはきっと。
5/3/2024, 2:00:15 PM
貴方の眼のなかに深海を見るのは私が貴方をなにも知らずにいられるからだ。塵芥の雄弁が埋まる水の底では沈黙だけが宝石だよ、その光だけが世界を照らしていることだけは知っている。貴方のうつくしさだけが正しいから太陽はいつも東の海に寄り添いたがるんだ、深海に居る貴方だけがそれを知らない。
なにかを思うことも許されないと勘違いするのは私の勝手で、本当は許さないとさえ思ってもみなかったのでしょう。驢馬の耳には名前さえ明かさなくていいから貴方がいい、秘密は海底に穴を開けてしまうから、打ち上げられた魚たちはゆく先を知らない。