今日の放課後は言えないかな
なんて思っていた
やけに目が合う君と
少し動揺してしまう
滅多に目が合うことなんてないのに
もしかして…言わわれ待ち?
廊下に出てみた
すれ違う瞬間に
聞こえなくてもいいから
ものすごく小さな声で
「バイバイ」
すると振り向いて
カバンの下で''バイバイ''って
手を振ってて
私の声を拾ってくれた…
周りに気付かれないように
応えてくれた…
〜 窓越しに見えるのは 〜
朝
「おはよう」って言えないかな…
登校のタイミング合わないかな…
そんな事を願いながら、登校した。
校門前、自転車で来る姿を見た
玄関で挨拶出来るかも……!
いつもより足取り早く玄関へ
言えるかも、間に合えたかも。
心臓の音が…止まない
「おはよう」
必死に出た声、変じゃないかな…?
「おはよぅ」
先に着いた貴方は振り向いて。
この先の声が出せなくて
話したい…でも…心臓が持たない…
放課後
帰るタイミングが同じ
友達も貴方の友達もいる
「バイバイ」なんて言えないよね…
友達と駐輪場に向かった
貴方も同じ道へ
その近くには他クラスの女子達
言えないか〜って諦めそうだ
自転車を持って駐輪場から出てきた
目が一瞬だけ合った
手を振るだけでも……
小さく手を振ってみた
貴方も小さく手を振り返した
少しでも近づきたくて
でも心臓の音がうるさくて
気持ちがぐんぐん上がってく。
〜入道雲〜
「おはよう」の為に
ゆっくり歩いた登校
結局言えなくて…
仲のいい友達はお休み
1人でいるのが珍しくて
話せたらいいな……なんて笑
1回だけ話しかけた
頬が下がらない…ポーカーフェイス!
小雨が降る放課後
教室から出てくるのを待ってみた
頑張って言ってみよ。
「(先生)さよなら〜」
先生に律儀に挨拶する誠実な人
「バイバイ!」
手を振って、精一杯…
「じぁ〜ね〜」
手を振り返した。
2人だけに聞こえる声で
急に暑くなって、教室に戻った
〜 夏 〜
久しぶり
私の秘密
明日、どう渡そうかな…
少し遅れたバレンタイン
てかそもそも渡せるかな…
全然話したことのない
私の気になる人
「ありがとう」
その一言しか1日は喋らない
この0にも満たない双六
第0歩をどうか無事に…
〜0からの〜
自分の好きだった人と
どことなく昔の親友に似てた友達が
付き合い出した
絶対にないって思ってたのに
友達は私がその人に
恋してたこと知ってた
悲しかったんだ
泣きたくても
背中を貸してくれる人なんて
私には居ないから
好きだった人は私を
「中学が一緒で高校は
仲のいい異性かつ相談相手」
としか見てないんだろうなぁ
教えてやりたい
「私、ずっと貴方のこと好きだったんだよ」
って。
「貴方に彼女がいたから、去年
諦めちゃったけどね」
って。
ずーっと君の恋愛相談を聞いて
「私だから相談してくれてるんだ」
って知ってた。分かってた。
友達として特別扱いされてただけ。
分かってたのに。察してたのに。
私の友達とよく一緒にいるなぁって
廊下で見てたのに。
なにかあるんだろうなぁって……
いざ、目の前に来ると悲しくなって。
辛くなって。泣きたくて。
誰かにこの感情を知ってほしくて。
大好きな友達と大好きだった人が
付き合いました。
その報告を受けたのは
男子数人と女子(私含め)3人
その中に私の気持ちを知ってる人は
誰もいない。
〜遠い日の記憶〜