放課後
テスト前の放課後、教室に残って勉強していた。他に残っていたのは、昔好きだった人だけ。別に話さないけど、勉強してる姿かっこいいななんて思いながら、問題を解いていく。
そこにやってきたのは、クラスメイトの女の子。彼の隣に座って話しかけている。まるで私はそこにいないかのように、2人の世界に入っていた。
テストが終わるまで毎日、そんな2人の世界をずっと見ている日々だった。
2人が付き合って、クラス中は意外さにざわめいていたけれど、私だけは知っている。
2人の甘酸っぱい青春物語。本当は私だって彼のこと好きだったのに、何も嫉妬の気持ちが沸かない。
これからも密かに2人を応援しよう。
私もこんな恋したいなって思いながら、今日のテスト勉強は切り上げて家に帰る。
星座
星座の形はちょっと無理がある。だって線一本でこいぬ座とか、誰がわかるの?
そういうこじつけが嫌いな私は、星座を見るのも嫌いだった。どう頑張っても、空に広がる星から星座を見つけ出すことができなかった。星座早見盤も、私には無意味だった。
初めて見つけた星座は、オリオン座。あなたと一緒にプラネタリウムに行って、オリオン座が見られる時間、方位、見つけやすい星───
暗闇の中で手を繋ぎながら、今まで嫌いだった星座も、あなたとなら見つけられる気がした。
プラネタリウムで言われた通りに、オリオン座を探しながら歩く帰りの夜道。少し寒い11月に、あなたの手の温もりで心は温まった。
「あった!」
初めて星座を見つけられた。ただただ綺麗だった星空から、見え方が大きく変わった。なんだか自分の心も変わったような気がした。
隣にいただけかもしれないけど、あなたのおかげで、星座が好きになれた。
踊りませんか?
疲れたときは無性に踊りたくなる。
踊るのは楽しくて好きだけど、別に得意なわけではないし、周りからは下手だと思われるだろう。だから、人前では踊りたくない。狭苦しい自室を最大限に広く使って、なんとか体を動かす。思い切り踊ることはできない。
そんな私が「踊りませんか?」とあなたを誘ったのは、なぜだと思う?
あなたなら一緒に楽しんで踊ってくれる。あなたと踊れば疲れが吹き飛ぶ。そう信じているから。
アイドルやダンサーみたいに、もっとかっこよく踊れたらいいなって思うけど…。そんなレベルの高いパフォーマンスより、あなたが笑顔で踊ってくれたことの方が、美しく見えた。
巡り会えたら
一度別れを告げてから本当に会わなくなった。
もしまた巡り会えたら、話しかけてくれるかな。話しかけられるかな。
私が一方的に見ていただけ。あなたの記憶から私のことなんて消え去っただろう。
それでも、巡り会えたらいいなって思っている。覚えていてくれて、あの楽しかった頃の話ができたらいいなって…。きっとそんなことはないのに、いつも考えてしまう自分は、過去に縋りすぎなのかな。