ないものねだり
終業式では優秀な生徒が表彰される
アンサンブルで賞を取ったとか
スポーツで賞を取ったとか
成績優秀者とか
私はずっと生まれてから手を叩く側だ
心底羨ましい
いつか私が人に誇れる才能を持てる時がくるといいな
特別な存在
私は特別な存在になりたい
大金持ちになりたい
有名人になりたい
そんな願いばかりだったけど
本当は愛されたいだけなのかもしれない
夢が醒める前に
昔、無限に続く扉と廊下の先に黒髪の少女と出会ったことがある。
つやつやの赤いランドセルをリビングに置いて
ずっと1人で留守番をしていると言っていた
ほどなくして、私はその少女と遊ぶことにした
一緒にゲームをしてすごく嬉しそうだった
彼女の弟もやってきて、輪になって遊んだ
でも彼女はやけに寂しそうな目をしていたのを覚えている
目が覚めてから、彼女の存在が薄れていくのを感じて必死に書き留めようとした
名前、容姿、年齢、遊んだこと
でも彼女はあの日からずっと現れていない
せめて夢から醒める前にもっとあなたのことを知りたかった
眠る前にふと思い出す
ひとりぼっちで寂しそうな目をしたあの子に
もう一度会いたい…と
胸が高鳴る
命短し恋せよ乙女とはよく言ったものだ
端的にいえば私は創作に恋をしている。
文を書くのも絵を描くのも
どれもこれも胸が高鳴るのだ。
最初はただの暇つぶしや気まぐれだった
でも、いつしか自分の考えを整理したり寂しさを埋めてくれる存在になった。
ひとりぼっちを苦痛に思わなくなって
ワクワクする冒険のお話や
フリルやリボンのドレスを着た少女の絵
これからもずっとずっとときめきに囲まれたい
胸の高鳴る方へ
不条理
理に適わないことなんて世の中いくらでもあるよ
母は昔わたしにそう言った
駄々を捏ねる子供にとって説明をすることができないことなんて沢山あるからだ
思考を停止し、しょうがないと諦めてしまう。
そうやって大人の世界に足を踏み入れていくのだろう
疑えば学者
諦めれば大人
私はこれからもその狭間で生きていきたい