疲れた。
思うように言葉が出てこない今日。
面倒くさい友達との会話をする今日。
空気を読んで愛想笑いする今日。
はぁぁ〜。
1人になると
ふと
私はこうなりたかったんだろうか。
そう問いかけてしまう。
私では無い何かになりたくて、
どこか違う景色を見てみたくて、
変わろうとしたんじゃなかったのか。
結局元に戻って
ため息ばかりの今日。
私何やってたんだろう。
昔、不登校になった友達を思い出す。
1度学校に来なくなってしまうと
その子も
その子の親も
甘くなった。
学校に来るようになった時は
嬉しかったけど、
たまにムカつく休み方をしていた。
眠かったから親に言って
休ませてもらった。
なんか行くのが面倒くさくなってきて
休んだ。
サボった。
学校に来ても
ちょっとやそっとのことで
明らさまに元気を無くして、
自分が悪いから
今元気が無いんですって顔して
1日を面倒くさくする。
私は言ってやりたかった。
でもこのご時世。
言いたいこと言っちゃえば
その子の不登校気味は
私のせいになりかねない。
それに友達にそれを言うのはどうなんだと
言われてしまいそうで
ずっとムカついていた。
ねぇ。
あんまり小さいことで
いちいち悩みすぎると
これから先がしんどくなりすぎるよ。
まず親が甘くなってどーすんの。
休んでずっとゲームとかして
友達と遊んで
楽しいことだけやってないでよ。
私あなたの分まで
係やら当番やら
やってたんだよ。
なのにさ
なんでヘラヘラ笑って
おちょくってからかって
馬鹿にしてくるわけ?
心の中で
何度も何度も
その子の事を悪く言っていた。
ため息はさらに重く長くなる。
結局その子の前でも
空気読んだり機嫌取ったりで
その時の私と今の私は
本当に変わっていない。
"Good Midnight!"
黒い感情が吹き出して
ドロドロと流れ
苦しかった今日にさよなら。
お気に入りの場所で
お気に入りの本を読む。
けどお気に入りの
あの言葉は
どこかへ行ったままだった。
飲み物が美味しい。
でも心は落ち着かない。
毎日見てたはずの言葉。
毎日声に出していたかった言葉。
誰かから聞いたのではなく
自分で見つけた言葉。
大切にしたいものほど
日常に解けていて
ふとした時に無くなってしまう。
ここにある間は
大切には出来ない。
人というのはそういうもので
治すことができないのも
頭を抱える。
夜が好きだった。
特に真夜中。
明け方はその日が始まるから
大嫌いだった。
青、水色、藍色が映える深夜2時。
世界から隔離されたように
辺りはしん…としていて
涙なんか暗闇に消えてしまった。
お気に入りの言葉も。
思い出せないことが増える度、
底知れぬ恐怖が私に流れ込んでくる。
思い出せないのが怖い。
それにむず痒い。
覚えてたはずなのに
今はわからない。
そんな状態が鬱陶しい。
いつか私は
私のことも忘れてしまうのだろうか。
いや、そうではない。
そうなれば
もはやそれは私では無い。
"Good Midnight!"
酔いが覚めると
お気に入りの言葉は思い出せた。
そろそろ酒に溺れて夜を過ごすのは
やめにしないと。
そう思っていても
忘れたいことができると
また飲んでしまう。
誰よりも
私は私を愛するべきだ。
どこが可愛くて
どこがかっこよくて
優しさの概念みたいな存在で
母性で溢れていて
愛くるしいか。
私のいい所、
私が1番知ってる。
でも
どこが面倒くさくて
どこが頼りなくて
空気が読めなくて
迷惑ばかりかけて
いっそ
いない方がよかったか。
私の嫌な所、
私が1番知ってる。
自分の悪い所も良い所も
愛してあげようなんて、
2Dのアニメやら何やらの世界でしか
そんなことは出来ないようで。
私は私を愛せない。
嫌な所がとことん嫌で
顔すら見たくない、
私が私と違う人だったら
絶対私とは友達にならないし
話しかけすらしない。
"Good Midnight!"
それでも目を瞑って
まぶたの裏の暗闇の中で
私は私を愛そうとする。
誰よりも
私は私を愛するべきだから。
自分を愛することで
世界の見え方が
ほんのちょっと変わる気がして。
10年後の私から届いた手紙には
大したことは書かれていなかった。
今も昔も変わらないとか、
ダラダラと生き続けているとか。
何をしたらいいとか
後悔するぞとか
そんなのはひとつも無かった。
多分
今の私にできることが無いんだろう。
手遅れというやつだ。
既に数え切れないほど
後悔も悲しみもあった。
今の私では
もう過去である事に
未来を変える術があったんだろう。
だから未来の私は諦めた。
未来の今のことだけ教えて
それ以外を受け止めろと言っている。
私は
手紙からわかってしまう私の未来を
必ず歩まなければいけない。
"Good Midnight!"
手出しができない未来は
大変面白味がないようで。
箱から1つ
チョコレートを取り出す。
パキッと口の中で噛むと
チョコレートはとろけて
時間すら溶かしてくれる。
気がついたら
To doリストが全て終わっていて、
私は甘いものを食べたら
大いに集中できることがわかる。
でもたまに不安になる。
甘いものを食べた後の、
集中している時のことが
思い出せないのだ。
もしかしたら私の中に違う自分が…
なーんて、
考えるだけ無駄だと思ってやめた。
やることが出来ていたら
もうそれでいいのだ。
巷ではバレンタインとか
やってるらしいけど?
私は甘いものを食べたら
必ず集中しちゃうから
貰えなくても?寂しくないし?
別に友達がいないわけではないし?
自分が集中したい時にできるよう、
チョコレートを買うだけだし?
誰からも貰えないからって
自分で買うってわけでは…。
さすがに悲しくなってくる。
とほほ…。
仕事では
この集中力にとても助かっている。
早く片付くからだ。
物事の判断も早く出来ているっぽいし、
気がついたら退勤なんて
天職だ。
私は鼻をつまんで
今日の仕事場を見に行く。
うわぁっとなる。
こりゃあ派手にやったな。
血まみれの壁と床。
死体こそ無いが、
どこにあったのかすぐにわかってしまう
血溜まりがあった。
私はすぐにチョコレートを食べ、
全てに集中し始めた。
"Good Midnight!"
ふぅ。
私の仕事は
デスゲームの後処理。
巷ではバレンタインとか
やってるらしいね。
まあ、
こんなバレンタインも悪くない。
甘くてとろける夢を、
ハッピーバレンタイン。