私はとても怖がりだ。
特に暗い空がとてもとても怖くて、夜は外に出られないほどだった。
みんな大袈裟だと笑うけれど、それには理由があった。
私が小学生の頃、山奥を友達と歩いていた時。
友達とはぐれてしまった。山を必死に探していると、後ろから足を引っ張られ、山をずるずると落ちていった。
目を覚ますと、祖父母の家でみんなに囲まれていた。
これがなんで暗い空が怖いのかは、
友達を思い出してしまうからだ。
彼女のなにもかも受け入れる性格、どこを見ても「綺麗」の一言しか出ない髪に、睫毛に、顔。それを思い出してしまう。
暗い空が、私を責めたてるみたいで。
彼女の黒い髪で、空を真っ暗に包み込んでるみたいで。
怖がり
君と空を見た。
綺麗な夜空を、4階のベランダから。
君は目を輝かせ、キラリと光る星に指を差していた。
ぼぉっと空を見ていると、心地よい風が吹いて、思わず笑みが零れる。
風に吹かれた髪を纏めて、君は僕にこう言った。
「綺麗だね」
星が溢れる空を指差して。
星が溢れる
君は、僕の横で眠っている。
それを隣で見ているだけで、絵に描けるくらいに美しい。
君の髪の毛を一撫でしても、君は目覚めない。
君の頬を触ってみても、寝返りひとつ打たない。
それは、当たり前の事だった。
君はもう死んでいるのだから、もう僕に歯向かう口も、凛としたつり目も、もう二度と見れない。
でも、仕方ない。永遠にこの安らかな瞳は僕なものだけなのだから。
君がつけていた丸眼鏡を、静かに拭く。
安らかな瞳
ある女の子の事を好きになった。
長く黒い髪に、つり目に丸眼鏡。
2次元ばかり見てきた中で、どんな女の子よりも可愛く見えた。
その日から僕は彼女に気持ちを伝え続けた。
恋文を綴った手紙を毎日ポストに入れて。
恥ずかしいから名前は書いてないけれど…僕の愛情、伝わるかな?
ああ、あの子の事もっと知りたいな。今度は、ちょっと高いけど小型カメラとか買ってみようかな?
もっと知りたい
血が、吹き出す。
口から、お腹から、目から。
付き合っていた恋人に刺され、意識が遠くなる。
最期に見えた顔はなんと興奮した顔だったか。
どうして、俺の生身の姿じゃ駄目だったのだろうか?
どうして