夢を見た。
死んだはずの大好きな人と、手を繋いで歩く夢だった。
最近では毎日その夢を見るようになっていて、私はなんだか嬉しくなっていた。
だけどその大好きな人は死んだ時の状態のままなのだ。私はどんなのでも好きだからいいが。
またある日、いつも通り眠りに入ると、大好きな人がこちらに背を向けて真っ白な空間に立っていた。
近付いてみると、こちらを振り向いてくれた。
顔もお腹も滅多刺しにされている、大好きでたまらない人。
ああ、私は悪いヤツだ。
綺麗な顔がぐしゃぐしゃになっているのを見ると背徳感が湧いてくる。
だからこそ、殺してよかったと本当に思っている。
何度でも見れたらいいな。
夢を見ていたい
「最近寒いのに、雪とか全然降んないなぁ」
私は窓から外を見ながら、ため息をつく。
雪、という単語を聞いただけで昨日のように思い出せる昔の事。
大好きだった男の子と雪の日に遊ぶ約束をつけたら、同じ手袋をつけてきてて、キュンとした事がある。
今でこそ美談のように語れるが、昔は恥ずかしくて2人だけの秘密だった。
その手袋は今でもボロっちくても持ってるし、思い出に浸れる。
「あぁ、早く雪降らないかなぁ…」
雪を待つ
「もうすぐクリスマスだし、イルミネーション見に行かない?」
友達との帰り道、唐突に言われた。
「いいけど…彼氏とかいないの?」
「いない。いないからあんたに言ってるの」
不貞腐れたように頬をふくらませ、彼女は続ける。
「はいはい、ごめん。じゃあクリスマスとかに行くか〜…」
「そーだね。またね〜。」
そんな話をして、私達は別れた。
クリスマス当日、友達とイルミネーションを見に行った。
「女二人だけど、綺麗だね。」
「一言余計だけど、まあそうだよね、ほんと綺麗。」
白い息を吐き、イルミネーションを見やる。
数時間ほど見て、帰ることにした。
「今日はありがとね。来年こそは2人共彼氏作ってダブルデートで来ようよ」
「うん、もちろん。」
約束しあって、私達は笑いながら別れた。
イルミネーション
ある女の人に、一目惚れした。
混みあった電車の中で一目顔を見ただけだが、運命を感じてしまった。
こんなベタな事を言うのも恥ずかしいが、彼女に会った時の真っ赤な顔よりはマシだろうか。
毎日のように電車で人に押されイライラしてしまうが、もし彼女を見たら頑張れそうだ。
最近ずっと考えていた。
眠れないほど
「行かないで」
駅のホームに虚しく響く声。
悲しそうな顔をして、手を振る貴方。
次はいつ会えるのか、そう思いながら涙と嗚咽を零す。
行ってしまった電車に、諦め手を振る。
また会う時も、この心の距離は変わらないだろう。
私は貴方のことが好きで、貴方もきっと私が好き。
距離