「夢じゃない」
いつも夢に思い描いていたけど
どうせ当たる訳ないって諦めていた
本気で考える方が馬鹿にされるくらいのことで
現実味のない夢のまた夢の話だった
自分の目が信じられなくて
ひとつひとつ確認するたびに喉が詰まる
息をすることも忘れてしまいそうで
急に体がカーッと熱くなってきた
落ち着け…落ち着け…
そう思うけど、ヒッヒッフー…とか、ヒッヒッヒーー…とか、もはや呼吸の仕方まで分からなくなってくる
汗だくになりながら確かめた番号
宝くじの一等当選
呼吸困難に陥って息苦しさを感じるから
これは…夢じゃない!
私は一夜にして億万長者になったのだった
「心の羅針盤」
進めよ進め
心の赴くままに
針が触れた方へ舵を切れ
時にはあちら
時にはこちら
進路が定まらなくてもいい
ふらふらしたって気にしない
それが自分
それでいい
振り向くな
前を見ろ
うつむくな
空あおげ
人を思い
心を寄せて
感じる今を
ただ生きる
心の羅針盤はそれを示す
まさか自分が…と、思いもよらない事態になって初めて気が付いた。
自分の人生を振り返ってみると、まだ何も成し遂げていない。
高校と大学は勉強やサークル活動に明け暮れ、社会的な実績を作るのに精一杯で。
誰かと深い関係になったこともないし、恋愛はまだ正直よく分からなくて、友達に揶揄われることもあるけど、遊びで付き合うことには抵抗があった。
就職は決まったけど仕事を覚えるまで研修だらけで余裕はないし、休みの日には読みたい本を一気に読んで自分の時間を過ごしていた。
そんな毎日を過ごす中で、君と再会したのは奇跡だったのかもしれない。
彼女は大学生の頃から奔放で、僕とは正反対の派手なリア充。
いつもみんなの中心にいて僕のことは興味ないと思っていた。
「そんなことない…」
…ずっと見てたよ、と続ける彼女の反応が意外過ぎて固まる僕に、彼女は頬を赤らめながら控えめに笑った。
彼女の気持ちを3年越しに知って、僕たちは付き合うことになり、少しずつお互いを知って仲を深めていった。
君と出逢って僕の世界が広がった。
派手だと思ってたけど、実は真面目で堅実な彼女の新しい一面を知るたび、僕の気持ちは深さを増していく。
君を通して見る景色は輝いていて、これが愛なんだと知ることができた。
ある程度、仕事も慣れてお金も貯まったら、彼女にプロポーズしようと思っていたのに。
こんな事になるなんて…。
…僕は知らない間にガンに侵されていて、すでに手の施しようがなく余命幾許もないと宣告された。
人生これからなはずだった。
彼女と結婚して、家を買って子供を育て、仕事もこなして、週末は家族と過ごし、旅行に行ったり思い出をいっぱい作って、子供が成人したらまた2人で余生を過ごして、孫の顔を見てから、家族に見守られながら大往生するはずだったのに。
まだ何も成し遂げていないまま、僕の人生は終わろうとしている。
こんなことがあるなんて。
君と思い描いた未来を全て手放さないといけないなんて。
深い絶望の中、僕は君に何を残せるだろう。
残された君はこの先どう生きるだろう。
こんな事ならば出逢わなければ良かった。
再会しなければ良かった。
愛を知らないままで良かった。
でも受け入れ難い未来だったとしても、僕に残された時間は少ない。
荒れたまま、誰のせいでもないのに誰かのせいにして、社会を恨んで逝くよりも、彼女の側にいたい。
彼女は僕からの告知を聞いて泣いた。
そして泣きながらプロポーズを受けてくれた。
彼女の愛に包まれて最期を迎えたい。
ただ側に…。
これからの彼女の人生には関われないけど、二人で過ごした時間、愛し合ったことを覚えておいてほしい。
それが僕の最期の望み。
僕は後少しでこの人生を終えるけど、君を愛し続けることを成し遂げるだろう。
小さな声を聞いてみよう。
耳を澄ますと
心のどこかで誰かの声が聞こえるだろう。
どんな声かな?
かわいい声?
しわがれた唸るような声?
じゃあ今度は想像してみよう。
その声の持ち主の姿を。
子供かな?
大人かな?
その人はどんな表情をしている?
嬉しそう?
悲しそう?
何か伝えたいことがあるはずさ。
キミの心には誰かが住んでいる。
キミは忘れているかもしれないけど、キミたちは二人で一つ。
今度はその人に質問してみようか。
今どんな気分?
どうしてそう思うの?
そうか…キミは今、そう言う気分なんだね。
その気持ち分かるよって返してあげて。
返事がなくても大丈夫。
心の人に問いかけてるといつか答えてくれるよ。
そうするとキミの心も同じ気持ちになるはず。
ヨシヨシってその人を抱き締めてあげるといい。
心の人を大切にすることは、
キミ自身を大切にすること。
この世界で生きる力になる。
自分の気持ちを認めて共感して、
そしてヨシヨシって抱き締めるんだ。
キミの世界は、今より少し明るく暖かくなるだろう。
キミの目を見つめると
ボクはそのエメラルドグリーンの海で溺れそうになる
キミの瞳はとても綺麗な色だから
ずっと見ていたいんだ
この腕の中にキミをとどめるのは難しい
いつも追いかけるボクの手をすり抜け
時には触るなとつれない態度
どうやら今日も機嫌が悪いらしい
それでもボクはキミが好き
そのエメラルドの瞳にボクは写ってるだろうか
名前を呼ぶと
キミは目を細めて「にゃあ」と答えた