歌声を聴いて癒されること
何度聴いても涙が溢れてしまうこと
そのパフォーマンスに心が鷲掴みにされること
美しき姿に幾度となく射抜かれること
笑顔でいてほしい
美味しいご飯を食べていてほしい
心癒される景色と音に囲まれていてほしい
大切な人たちと心地よい空間に居てほしい
どうか健康でいて
どうかしあわせでいて
あなたが私を知らなくとも
私はあなたのしあわせを祈る
─これらすべて、あなたに出会えたから。
だから、ありがとう。
徒歩10分の馴染みの銭湯から帰ると
私も彼も身体中がぽかぽかで
そんな身体に染み渡るいちごミルクも飲み干し
心も身体もお腹も大変に満足だった
「もうこのまま寝る?」
頬の赤い彼が言うので
「寝るしかない」とすぐ頷いた
二人でひとつの布団に入ると
彼が、今日疲れたでしょ、と言いながら
私の手をモミモミし始めた
そこから二の腕までを行ったり来たり
「ありがとう、ほんとありがたいんだけど」
「うん?」
実はもっと強くやってほしかったりして、、、優しすぎてたまにくすぐったいのよ、と小声で頼むと
「おっけー!まかせとけ!」とすぐ力が強くなった
よくほぐれていく感覚で気持ちがいい
「ありがとうございます!!!」
モミモミは優しくしないでよね
いつもなら、
目向きもせず通り過ぎていた看板
買わない可愛らしい包装のウエハース
写真も撮らない普段の手料理
それを今や、
立ち止まって看板をよく見て
二つのウエハースを買って
きれいに撮れるまで試している
当たり前の景色に色がついていく
君に出会って
「今から行っていい?」
仕事で疲れて帰宅し、甘いものを頬張っていたところに男からLINEが届く
これはいつものお誘いか、と胸が高鳴るのを抑えつつ
いいよー、とだけ返信をした
まもなくして呼び鈴が鳴る
この短い時間で身だしなみを整えた私は
玄関の扉を開ける
そこにはいつものように満面の笑みで
入浴セットを抱えた彼が立っていた
すると彼は開口一番、
「今日はどうする?コーヒー牛乳?いちごミルク?」
と興奮気味に聞いてきた。
私はすぐに答えた。
「いちごミルクでしょ!」
「おっけぇ!じゃ早く行こうぜ」
私たちの楽園は徒歩10分
最近改装した馴染みのある銭湯だ