NoName

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7/6/2025, 12:56:30 AM

波音に耳を澄ませて


絶え間なく続く
静かに引いては打ち寄せる波音

私はそれを枕を抱えて
ただ聞いている

この音は永遠
人に一時の、なんて、短い

海は世界を繋いでるから

私は音を聞いて
震えるだけ

7/5/2025, 12:10:56 AM

青い風


私と貴方の間に風が吹く
一緒に歩いてるわけじゃない

学校から同じ駅に向かってるだけ
帰るタイミングが同じだっただけ
勝手にこれ以上風の通る道を広げないように
歩調を合わせてるだけ

でも縮まらないように
振り向かれないように

柔らかく少し温まってきた風が吹く
私は足を止めて
風の道が広がる

広がって
広がって

ただ青い風が吹く

7/3/2025, 12:33:24 PM

遠くへ行きたい


青く高い空に一筋の飛行機雲
訪問先へ急ぐ途中
足止めされた赤信号の前で
汗を拭いながら空を見上げた

あぁこのまま
あの飛行機に乗って
どこか見知らぬ土地に

じめりとした空気とは違う
碧い海と
海をなぞる涼やかな風を……

そんな妄想を打ち切るように

さぁ現実のアスファルトを踏み締めるのだ
と、ばかりに
青色の電子音が鳴り響いた

7/2/2025, 1:12:57 PM

クリスタル


グラスに放り込んだ宝石

どこまでも透き通り
凹凸なく整えられた面に
琥珀色を注ぐ

キラキラと輝きを増し
琥珀に溶け出していく

ふわりと香る甘いオーク

グラスを傾ければ
唇にヒヤリとふれ
隙間から流れ出す液体が
甘さと共に喉を焼く

減った琥珀の海で
その透明な石は輝きを増す



7/1/2025, 12:06:59 PM

夏の匂い


不快な湿気を帯びた熱が落ち着いた頃
夕立に濡れた蒼の香り

川の音に誘われて
ふらりと夜道を歩く

涼やかな風に
幼い頃の光を探して

見つからない光に
悲しみ
月を見る

ざわめく森がまた
涼やかな緑の香りを運んでくる

夏の夜の
冷たい香り

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