自転車を漕ぐ
車道を走れ、という空気が濃くなり
私は窮屈な車道をひた向きに走る
満員電車に乗る
人というよりも肉に押しつぶされそうになりながら
スキップしながら走る電車を2本の足で乗りこなす
ふとした時に風が当たる
春の匂いを纏った、ほんのり温かい風
その風に包まれた私は自由だった
どんなに狭い場所で身動きが取れなくても
風に乗って、どこへでも行けた
風は、いつの間にか生まれて、いつの間にか消えていく
そんな自由に乗って、私は息をしていた
花粉の詩
刹那の間に
人が生まれて、人が死ぬ
誰かが恋に落ちて、誰かの好きが嫌いになる
刹那という時間を切り抜いて、全人類をかけると
そこには一生分の時間がある
そんなことをぼんやりと思いつつ
自分の人生を生きている私は
刹那に何を提供できるのだろう
瞬きするような刹那という時間の中で
私はもがき、苦しみ、誰かを愛して
静かに焼かれる
歩みを止め、後ろを振り返ると
そこに命をかけた刹那があった
一瞬の詩
黄砂が視界を奪うような痛みに似た不快感を持ち
新鮮な心持ちで、煩いアラームを止めた
春みたいな朝
競歩選手のようにせっせと歩き
耳の中で、蝉のように鼓動する心臓の音を聞いた
夏みたいな昼
夕日を纏った落葉が美しく、心地よい風に吹かれる中で
人と話し、作業して、何かを読み、何かを学んだ
秋みたいな夕方
まだやはり寒くて、震える身体を見て孤独を感じつつ
布団の暖かさに包まれ、自分の底が安心して眠る
冬みたいな夜
今日の心模様は、四季に彩られた走馬灯
金欠なのに、友達とご飯に行った。
充実した休日にしたかったけど、一日中寝てた。
本当は許したくないけれど、いいよと言った。
幸せだったけど、別れる決断をした。
たとえ間違いだったとしても
後から正しかったことにすればいい。
「正しい」も「間違い」もそんなに変わらない。
新月と満月みたいなもん。
ぽちゃん。
雫が落ちるように、どうしようもなく恋に落ちる。
ぽちゃん。
雫が落ちるように、君と一緒にかいた汗が落ちる。
ぽちゃん。
雫が落ちるように、君と手を離すとき、涙が落ちる。
そうして雫は落ち切り、土を濡らす。
時間を含んだ雫を受け入れた土の底で
まだ見えない芽が、静かに萌え始める。