3年前の今日
きみは角を曲がってきたスピード違反の車にはねられた。
一命をこそ取り留めたが、
きみはあれからベットの上から
動かない。
いわゆる植物状態。
でも、植物が何も言わずに日の光を浴びて伸びていくように、
きみは日々大きくなっていく。
本当は毎日話をしながら、成長を感じたいけど、
“きみが生きている”
それだけに意味がある。
それだけでいい。
それだけでいいから、どうか
どうかこの時間がずっとずっと
続きますように
やあ、俺様はジーニー🧞♂️
ランプの魔神だ
3つだけ願いを叶えてやろう
ある日玄関を開けると目の前に金のランプがあった。
特になにも考えず、夢見心地で
ランプをこする。
そしたらこいつが出てきた。
思ったよりでかい。
いやいや、きっと夢だ。
昨日の残業で疲れすぎたのだ。
だとしても面白い夢だ。
せっかくだし、願いを言ってみよう。
👤じゃあ1つ目、今大福が食べたいから、大福を出して
🧞♂️よかろう
箱に入った大福が煙と共に現れる
👤すごい!じゃあ2つ目、お茶を一緒にしたいから、親友を呼んで
また魔神は頷くと、煙と共に親友が驚いた顔で出てきた
👤すごい!すごい!じゃあ3つ目、3つ目...
3つ目を言って、叶えたらこいつは消える。
これは重要な問題だ。
しっかり考えなくては...。
ふと、頭によぎったきみの顔。
もし、戻ってくるとしたら...。
👤じゃあ、3つ目。私の大切な人を生き返らせて。
今まで頷き続けた魔神の顔が歪む
🧞♂️それは無理さ。
👤なんで?今まで願いを叶えてくれたじゃん!
🧞♂️ご主人様、世には運命というものがある。俺様はなんでも出せるが、運命にゃ逆らえねえ。
あー、その代わりってか?あのー綺麗なテーブルと椅子置いとくからな。お、お茶楽しんでくれよな。じゃあな!
颯爽とランプに戻り、ランプは飛んでいった。
あと1つ、願いを叶えてもらえなかった。
私は、きみと空飛ぶ絨毯には
乗れなかった。
大切なもの
いつも私を受け入れてくれる家族
どんな愚痴も聞いてくれる友達
授業を丁寧に教えてくれる先生
悲しい時そっと近くに来るポチ
当たり前にあった日常
その全てが水に、土砂に流された
元の日常は、土の中から出てきた
私の大好きで大切なもの
あの日から私は全てを失った
そう思っていた
12年が経った今、
私には家族がいる
私は大切なものが増えた
いつか私が経験した虚しさを
悲しさを、残酷さを、
この子には絶対に味あわさせない
「ママ、怖い顔してるよ?」
「大丈夫、さあ、遊びましょう」
私の大切なもの
当たり前で当たり前じゃない日常
4月1日午前3時28分
私は曇った夜空に向かって
手を合わせる
今日はエイプリルフール
世界の人々が笑顔で嘘をつける日
だからきみがいなくなったのも
嘘のはず
そう思い続けて2年が経過した
きみは一向に帰ってこないね
でも私は待ってるよ
きみを家で待っていたあの日からきみが宙を舞って地面に叩きつけられた
あの時から
なるべく小さな幸せと
なるべく小さな不幸せ
なるべくいっぱい集めよう
そんな気持ちわかるでしょ
THE BLUE HEARTSより
今回はネタが思い付きませんでした。私の好きな歌詞で、今回のお題に当てはまるかなと思い書きました。期待させてごめんなさい。