NoName

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10/4/2023, 6:35:24 AM

テーマ 巡り会えたら


「鬱つの光」
 

 幾重にも伸びる暗闇の道を、手探りで進んでいく。
 光をくれる人なんていない。

 冷たい空気が渦巻いて、その空気1つひとつが身体を突いてくる。
 夢を見る事さえ許されなかった。
 
 どこに落とし穴が開いているかわからない。
 どこに終わりがあるのかわからない。
 常に神経を張らしていないと、いとも簡単に落とし穴に落ちてしまう。
 
 何回助けを乞いただろう。
 何回普通に憧れただろう。
 
 ずっと普通になりたかった。

 そんな事初めからわかってるつもりだったのに。
 今更何を望んでいるのだろう。

 すり足で0.5歩ずつ進む。
 落とし穴に怯えながら、
 追い越していった「普通」の背中を探しながら。

 今日も歩を進めていく。

 
 光をくれる、その人に巡り合う夢を見ながら。

 覚めない夢に落ちていく。