「もしも、あなたが川で溺れていたら、僕は、自分が死んでもあなたを助けるよ。」
愛してるって言ってたんだ、と8年後に気がついた。
あの時、わたしは彼に愛されてた。
わたしの生なんて無意味だし、もちろん誰が生きることも無意味だけど、誰かに心から愛されたことがあるんだと、知れたことだけをわたしの唯一の執着にしたい。
誰に汚されることなく。
【誰にも言えない秘密】
【善悪】
母は、祖母の部屋から私を連れ出して、トイレの前の廊下に連れて行ってから「ただ食べて寝て、したい事だけして生きているのでは意味がないでしょ」と言った。
驚いた。私はまだ小学生だったから。働けない。生きる意味がないなら何で私いるんだ???
母のお手伝いをするのは生きる意味がないから?
自分の子どもをサンドバッグにしちゃいけないと思う。
なのに、自分も親になって同じことをしてた。そんな私は、やっぱり本当に生きてる意味はない。
私は生きてる意味がない。誰も生きている意味はない。
【春爛漫】
小学生の頃の話しです。
私は、暗い夜道を歩い帰宅するので、母は、歩いて私を迎えに来ていました。
母は「花泥棒は罪にならないんだって」と言って、近所の梅の花、ツツジ、クチナシ、さるすべり、椿など、四季折々の花を夜の闇に紛れて摘んでは家に飾っていました。
母は、薄暗い街灯の灯りを頼りに、闇に紛れて素早く花を折っていました。そして採れた獲物(花)を「キレイでしょー」と嬉しそうに見せました。
私は、誰にも見られなければ、その辺にある物は拾ったり取ったりしてもいいだろう、と思う事があります。
母よ、それは「泥棒」だと思います。やめてください。
【幸せに】
春休み、息子が帰ってきた。大きくなっていた。
体重103kg(BMI 33)
決して、このままではいけない。私は密かに息子のダイエットの決意をする。和食に切り替え、お菓子は置かない。
YouTubeでダイエットダンスを見つけて誘うと素直に踊りだした。息子は「自分の肉を感じる…」と目を丸くしてこちらを見た。こっち見るな。
数日後、仕事から帰ったら「ご飯作っておいたよー。お風呂も沸いてるよ。」とニッコリ笑って迎えてくれた。
なぜか息子を想わせる様な山盛りの麻婆茄子、白いご飯に冷えたビール。楽園か?
食後は、ヨーグルトクリームのデザートまで出てきた。
以後、家に帰ると、息子の笑顔と手料理が待っている日々が続く。
息子は手強い。