『貝殻』
小学1年の夏休みに珍しい貝殻をあつめた
海に近い町に住んでいた
もう、どんな貝殻を集めたのか忘れたが、きれいに磨いて紙の箱に綿を敷き詰めて貝殻を置いた
今でも覚えているのが、可愛い薄いピンク色のさくら貝
ちょうど、子供の人差し指の爪の大きさ位だった
中には、濃いめのピンクで大きい
さくら貝も見つかった
『親子のさくら貝』などと名付けた
故郷を離れてからは、さくら貝を見つけることもない
さくら貝が打ち寄せる浜辺をゆっくり歩くこともなくなった
きれいで優しいさくら貝の貝殻を知っていますか?
『きらめき』
夜空の星のきらめき
夏の海の眩しいほどのきらめき
高層ビルの上階から見えた夜景のきらめき
ロープウェイで上がって見えた函館の夜景のきらめき
夜空に大輪を放つ花火のきらめき
ニースに飛行機で降り立つ時に見えた異国の夜の鮮やかなきらめき
レセプションでひときわ目立つドレスの女性のオーラときらめき
婚約指輪を貰ったのと見せてくれた友人の指のきらめき
きらめきはそれぞれ
私は、小さい子供の瞳のきらめきが一番尊いと思う
『些細なことでも』
その日の気分によって、些細なことでも気になる
もともとは大雑把な性格のはずが、苛立つ
誰かに当たり散らしたくなる
自分に自信が持てないからかな
もっと寛大な自分でいたいのに
イライラする
好きな音楽を聴いて、好きな珈琲をいれて飲むそして美味しいケーキがあれば、イライラもなくなりそう
明日はクラシックを聴いて、マンデリンを入れて、ニューヨークチーズケーキをいただくとしよう
きっと、優しい気持ちを取り戻せるよ
でも、根幹は修復されないよ
そうだね、呪文を唱えて自信を持つように念じてみようか
自分に言い聞かせることが、大事だよね
些細なことを忘れられそう
『心の灯火』
11月3日、友人と小海線に初めて乗ったのは15年前のこと
八ヶ岳のギャラリーへ向かう為に甲斐大泉まで乗り込んだ
車窓は広くとられていたのが印象的だった
松原湖に近づいた頃から、大きな車窓には一面の紅葉
すごい、錦繍、錦秋と叫んでしまった
すっかり、窓の外の圧巻に
心を奪われていた
自然の力が私のこころに灯火した
一瞬だった
その後も、11月になるとあの錦秋に会いに行くが、なかなか会えていない
こころの灯火は一度きり
『開けないLINE』
ずっとずっと、LINEの返事を待っていたの
私たちの今後のことを会って話したいと送ったの
だけど、何日もLINEがこなかった
海外出張なの?
残業続きでヘトヘト?
それとも、話す意味がないと?
ご両親が病気?
あなたがコロナ?
色々想像して、待ってみた
20日も経ってようやくLINEが
届いた
あれだけ待っていたのに、開けないよ、このLINEを。
いい返事なら、きっとすぐ届いたはずよ
迷いに迷って、ようやく結論を出したのよね
私には、嬉しいLINEには思えない
明日は開こうか?
明後日にしようか?
勇気のないままの自分がいた
開けないLINEを今日も開いてないよ
えっ、LINE📞がきちゃった。