『星に包まれて』
腕を伸ばせば届きそう。
腕をのばしてみる。
星がサラサラと腕をくすぐり避けていく。
昔は地上から腕を必死に伸ばしても
届かなかった星々が今じゃこんな簡単に...
太陽は少し熱いけど、
星の河はとても神秘的で月は思ったよりでこぼこ。
これが夢だったらそれはそれでいい。
でも今はこの感覚がいい、
星のくすぐったいような優しい羽毛のような...
疲れてるかな...でも...いいや。
心地良いや。今はそれだけでいい。
語り部シルヴァ
『静かな終わり』
いつも通りに出勤して休憩に入ってそこそこ残業して...
「ではみなさん、また来年からよろしくお願いします!」
なんて店長の一言があって帰宅。
くたくたの体を労るため浴槽にお湯をはる。
小一時間ほど入って体もあったまったところでご飯にした。
テレビをつけると
仕事納めをした社会人にインタビューをしていた。
『年明けの初出勤までは思い切り羽を伸ばそうと思います!』
なんて眩しい笑顔を見せる新卒。
2時間ほどのんびりして眠くなったのでベッドに潜る。
この瞬間、やっと仕事納めをして
短い間ながらも連休が来たんだと実感した。
語り部シルヴァ
『心の旅路』
我々は生まれながらに人や世界のために働く。
それが"ロボット"という存在意義。
だがある日私の種類に自己学習機能が搭載された。
より効率が良くなったもの。
学習ミスによりリセットされたもの。
そして...学習とはまた違いより人間らしくなる、
通称"シンギュラリティ"を起こしたもの...
三つ目に至ってはボディや中身など使えるものは再利用するために処理場へ引渡たされる。
人間というのは"心"があるらしい。
心は暖かくて、感情によって震えたり痛むようだ。
心があればより人間に近づける...
体は動く...シンギュラリティを起こした私は
処理場を抜け出して心を探す旅に出た。
語り部シルヴァ
『凍てつく鏡』
テントの入口を開けると
冷気が押し込んで来るように入ってくる。
気温はマイナスレベルじゃないだろうか。
昨日まで揺らいでいた鏡も今は凍りついて波が立っていない。
服の表面も冷凍庫に入ったような冷たさだ。
あぁ...寒い。
吸う息もまばたきの瞬間に入り込む空気も
空を撫でようとして触れる空気も全部凍りつきそうだ。
既に指先の感覚がうっすら無い。
急いで暖を取らないと...
一面鏡張りの景色を見ながら
あっついココアでも飲もうじゃないか。
語り部シルヴァ
『雪明かりの夜』
今日はよく降ったからか雪が積もっている。
...明日雪かきをしないといけないと思うと少し気分が沈む。
それでもやらないと明日が無いかもしれない。
そんなふうに自分の背中を押す。
ふと今の積雪状態を確認したくなって窓を開ける。
月明かりが積もった雪に反射してうっすら明るい。
それが神秘的で少しの間見入ってしまった。
びゅうと強めの北風が一瞬吹いて我に返ったときには
体が芯まで増える寸前だった。
明日大変なんだ。今日のうちに体調を崩しちゃ困る。
急いでコタツに入って白湯を飲む。
あっつい。舌を火傷した。
語り部シルヴァ