『ぬくもりの記憶』
枯葉に体を埋めて眠る。
こんな寒い日にはこれに限る。
寒い夜はいつも暖かい場所のことを考える。
日が差す日中の公園とか少しボロい四角形の機械とか...
けれど一番頭に残ってるのは、頭を撫でられた時のぬくもり。
小さい頃頭を撫でられたことがよくあった。
今じゃその手はどっかに行ってしまったが...
毎日は鬱陶しかった。
けれどそれよりも嬉しさが勝っていた。
あぁ...今日はやけに寒さを感じない。
あの温もりが私を包んでくれているような気がする。
今日は...ぐっすり...眠れそうだ。
語り部シルヴァ
『凍える指先』
指が痛い。
ポケットに突っ込んでも寒さを凌げてる気がしない。
いつもハンドクリームで保湿できてるはずなのに
指先が乾いて服の生地に引っかかる。
手袋を忘れた。
寒さが指先に刺さって風が染みる。
本当に指先だけが凍っている感じだ。
さっさと帰りたいのに今日は外せない用事がある。
我慢して用事を終わらせないと...
ポケットから手を出して自分の息を吐きかける。
赤くなった手は少し割れてしまった。
あー...また一から手入れし直しだ。
語り部シルヴァ
『雪原の先へ』
少し沈む明日を何とかして持ち上げ
一歩ずつ白い山を登り切る。
登りきった先の辺り一面は雪景色。
木々は見えずフェンスは視界の端っこにようやく
ちょこんとあって、ただ太陽の光が
反射してキラキラと光る雪。
すごく綺麗な景色だ。
スマホを忘れていなかったら絶対に写真を撮っていただろう。
今からここを下る。
毎年ここに来ているがまだどうにも慣れない。
けれど形は上手くなってきた。
あとは楽しむ気持ちさえあればモーマンタイ。
深呼吸して足をずらすように動かす。
板は斜面を滑り始める。
足が少し強ばって心臓が滑る速度に合わせて脈打つ。
ターンも綺麗に決まる。
ひとつ、ふたつとゲートを滑らかに通る。
...綺麗にゴールを決める。
ひとりだと集中できるけど、誰かと滑ってみたいものだ。
リフトを目指しもうひと滑り決め込むことにした。
語り部シルヴァ
『白い吐息』
息を吐けば白くなって空の青に溶けていく。
楽しくなって何度もやってしまう。
白くなくなったらマフラーで口を温めて休憩。
ずっとやってしまうのはなんでだろうか。
大人になった今でも癖で続けてしまう。
休憩の仕方が変わっただけで、
今はコーヒーで口を温めている。
僕が休憩している間もコーヒーは
僕を真似て白い息を空に吐いては青に溶ける。
コーヒーを飲んで胸の中心がぽわぽわしてくる。
また白い息が吐けそうだ。
語り部シルヴァ
『消えない灯り』
風に吹かれるようにゆらめき、
優しい明るさを絶やさず灯りは優しく部屋を照らす。
今はすごい時代になった。
ロウソクのような明かりを
ライトで表現出来るようになった。
おかげで電気さえあれば
消えることの無い優しい灯りを味わえる。
強いていえばロウソクのように
あったかいわけじゃないから、
厚着はしないといけないが...
それでも揺らめく灯りはずっと見ていられる。
灯りは、時間を止めたかのように
消えることなくずっと照らし続ける。
語り部シルヴァ