『LaLaLa GoodBye』
なあ知ってるか?
最近悪党を狙った人斬り事件が増えてるんだってよ。
へえ、悪党を狙うなんて正義のヒーロー気取りか?
いやそういう訳じゃないらしい。
カメラに映らないよう
夜な夜な静かに人斬りをしてるらしい。
なるほどなあ。
だがどうも不思議なのは歌を歌うらしい。
歌?子守唄的なあれか?
あぁ、ただオリジナルの歌らしく
その日によって内容は変わるらしい。
なんだかよく分からないなあ...ま、斬られるのはごめんだ。
さっさと金目のもの集めてずらかるぞ。
そうだな。...?おい、なにか聞こえないか?
あ?ほんとだ。...なあおいこれって...
静かな夜。革靴がコツコツと地面を蹴る。
今日は二人も斬ることが出来るなんてラッキーだなあ。
今宵も皆が静かに眠れるように子守唄を歌おう。
月明かりの下思わず歌いたくなる。
さあみんな。夜は私が守る。安心して眠たまえ。
La La La...
語り部シルヴァ
『どこまでも』
なんとなくで始めた創作が異様にハマってしまった。
文章で表すのは苦手だが絵でなら表現出来る。
好きな髪色に好きな目の形。
思いを形に仕立ててできた絵はなんともめちゃくちゃ。
人には見せれるレベルじゃないなこれは...
と思わず笑ってしまうほど。
それでも楽しい。
もっと絵を描いたり自分の表現を形にしたい。
絵を描くだけじゃなくてパーツの描き方とか
バランスのとり方とかも勉強しようかな。
好きがどんどん自分を上達させる。
好きがもっと好きになる。
今ならどこまでも、絵を描ける気がする。
ノートのページを一枚キレイに破り新たに絵を描き始めた。
語り部シルヴァ
『未知の交差点』
スマホの地図アプリを確認する。
次の信号を右に...
慣れない革靴とまだ日中が暑い中
スーツを着て中が少し汗ばんでいる。
周りが内定をもらって人生謳歌してる一方で
なにもできていない自分に焦りを覚えている。
それでも自分のやりたいことがわかってないせいで
上手くいっていないのが現状だ。
家から遠ければ遠いほど、
知らない場所へ向かうのは革靴のせいもあって足が重い。
ここまで来ても帰りたいと思う気持ちが強い。
それでも人より遅れてる現状は変わらない。
初めて来た交差点。
アプリで改めて道を確認する。
気を抜けば迷子になりそうな都会に目が回る。
こんな所で躓いている場合じゃない。
ネクタイと気を締め直して青信号と共に歩き始めた。
語り部シルヴァ
『秋恋』
本気で恋する予定は無かった。
ずっと人肌恋しかった。寂しかった。
だから空いた穴を埋める"何か"が欲しかった。
いい感じに会話が弾んでいい感じで会話が続く。
友達以上恋人未満ってこんなに心地いいもんなんだ。
ずっとこんな関係が続けばいいのに...
なんて思っていた。
飽きたら本気の恋を探しに行く予定だった。
今じゃ離れて欲しくない。そう思ってしまう。
惰性の関係が本命になってしまった。
こんなこと君に知られたら
それこそこの関係は終わってしまう。
せっかく見つけた本命の恋がこんなにも絶望的なのは
今までのツケが回ってきたのかな。
語り部シルヴァ
『愛する、それ故に』
ふと目が覚めた。喉に違和感があったから水を飲みに行く。
ついでにトイレも済ませて戻ってくる。
ゆっくりと動いたおかげか布団の中の彼氏は
ぐっすり眠っていた。
寝てる姿もかっこいい...とうっかり惚れそうになる。
いやもうゾッコンかもしれない。
はだけた布団を直しつつ隣に寝転ぶ。
ああ...幸せだなあ。
愛する人がいて同じ時間と温もりを共通できるなんて。
君と出会うまでこんなこと経験できるとは思ってなかった。
...だからこそ怖い。
君がいなくなったら私は絶望するだろう。
嫌なことは考えたくない。
君を起こさないようにゆっくりと動き、
もっと君の体温を感じるためピッタリくっついた。
優しい温もりが安心感と眠気を誘い、
そのまま眠りについた。
語り部シルヴァ