→扉
ロマンチックな交流方法に、海にメッセージボトルを流したり、風船で手紙を飛ばしたりってのがある。
知らない誰かに届くことを願う手紙。
それは新しい世界への扉に似ている。
七夕の笹と短冊を燃やした行先は神様だと言うけれど、もしかしたら、その灰は宇宙人に届くかもよ。
何はともあれ、メッセージボトルでも、風船の手紙でも、願い事の短冊でも何でもいい。
あなたに開け、新しい扉。
テーマ; 届いて……
→夏の思い出
貝殻を耳に押し当てるように、
ラムネの瓶を頬にあててみた。
遠い昔のことを、思い出す。
夏休みに訪れていた、
おばあちゃんの家。
漬物や卵や野菜、
そこにラムネの瓶。
私たち孫用に、
買っておいてくれたのだろうな。
久しぶりに飲んだラムネの喉越しに、
夏の景色。
テーマ; あの日の景色
→不幸な話
金持ちになりたい。
容姿端麗、頭脳明晰になりたい。
一流のスポーツ選手になりたい。
世界が平和でありますように。
あの人が幸せでありますように。
お母さんのお給料が上がりますように。
彼に新しい出会いが訪れますように。
「願い事」が、「願う『だけ』の事」なら、
どんな制約もない。
実現しようと思った途端、
ソイツは一つの「原点」になる。
夢に邁進する情熱か、
得られないモノへの羨望か、
努力の先にある葛藤か、
歪んだ感情による過干渉か。
私は、
過去の願い事の残滓、
「妄執」に囚われている。
いつか自分だけの才能が、
天から降り降りてくると、
未だに、信じている。
テーマ; 願い事
→からっぽ。
コンチクショウめ!
私はバカだ。
彼はホストで私は客で。
それ以上があるハズもないのに、
知ってるのに、
……甘い期待を捨てきれない。
店を出たとき、財布が軽いとき、
もう二度と行くもんかと固く決心するのに、
翌日の夜にはソワソワしてしまう。
他の女に取られたくない。
ソイツが幾ら使うのか知らないけど、
私と居るときよりも楽しくしないで!
イヤだ、イヤだな。
どうして彼を好きになっちゃったんだろう。
トモダチは、これは恋じゃないってさ。
あぁ、そうかよ!
オマエにはわかんねぇだろ!
チクショウ!
空っぽだよ。
空箱。
空元気。
空返事。
この恋は、空恋。
テーマ; 空恋 (からこい)
→正直なところ……
海辺に出向く前は、気取って波音に耳を澄ませてみようと気合をいれるのだけれど、到着するや否やテンションが上昇して大はしゃぎ。
大人になっても、しっとり風情を愉しむことが未だにできない。
テーマ; 波音に耳を澄ませて