→不幸な話
金持ちになりたい。
容姿端麗、頭脳明晰になりたい。
一流のスポーツ選手になりたい。
世界が平和でありますように。
あの人が幸せでありますように。
お母さんのお給料が上がりますように。
彼に新しい出会いが訪れますように。
「願い事」が、「願う『だけ』の事」なら、
どんな制約もない。
実現しようと思った途端、
ソイツは一つの「原点」になる。
夢に邁進する情熱か、
得られないモノへの羨望か、
努力の先にある葛藤か、
歪んだ感情による過干渉か。
私は、
過去の願い事の残滓、
「妄執」に囚われている。
いつか自分だけの才能が、
天から降り降りてくると、
未だに、信じている。
テーマ; 願い事
→からっぽ。
コンチクショウめ!
私はバカだ。
彼はホストで私は客で。
それ以上があるハズもないのに、
知ってるのに、
……甘い期待を捨てきれない。
店を出たとき、財布が軽いとき、
もう二度と行くもんかと固く決心するのに、
翌日の夜にはソワソワしてしまう。
他の女に取られたくない。
ソイツが幾ら使うのか知らないけど、
私と居るときよりも楽しくしないで!
イヤだ、イヤだな。
どうして彼を好きになっちゃったんだろう。
トモダチは、これは恋じゃないってさ。
あぁ、そうかよ!
オマエにはわかんねぇだろ!
チクショウ!
空っぽだよ。
空箱。
空元気。
空返事。
この恋は、空恋。
テーマ; 空恋 (からこい)
→正直なところ……
海辺に出向く前は、気取って波音に耳を澄ませてみようと気合をいれるのだけれど、到着するや否やテンションが上昇して大はしゃぎ。
大人になっても、しっとり風情を愉しむことが未だにできない。
テーマ; 波音に耳を澄ませて
→清涼感
夏は暑い。
真夏の昼間に外に出たのが間違いだった。
頭上の太陽が憎たらしい。
近くの自然公園に逃げ込む。
アスファルトの地面から土の遊歩道へ。
天井には立ち木の枝葉。
たったこれだけのことで随分と楽だ。
思わず息継ぎのような深呼吸をする。
それまでダラダラと重かった足取りが、
少しばかり軽やかになる。
のんびり歩こう。
葉陰、何となく視界まで緑っぽく感じる。
ささやかな風が吹く。
樹木を渡る風は、青い匂いがする。
青い風が、背中に押す。
ふんわり、それに乗っかる。
「あ、追い風」
テーマ; 青い風 (あ おいかぜ)
→暑い〜!
暑い〜〜!!!
暑いの苦手やねん!
もう、アカン。
何処か涼しいとこに行きたいなぁ。
宇宙とか。
−270度!
どやさ、どやさ!
……どやさって、
まぁ、どうにもならんわな。
テーマ; 遠くへ行きたい