Nero

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5/31/2025, 1:59:27 AM

どんな物語にもいつかは終わりが来る。

だんだん薄くなっていくページ、

あ、風に吹かれて、飛んでった。

好きなモノへの気持ちも、いつしか薄れて。

断捨離!とか言って今までの物語とさよならしたりね。

――好きだったキャラクターのグッズ
――友達と交わした手紙の束。
――あの人からもらったお菓子の缶、とか。

さよなら、ありがとう。

でも、きちんと思い出は大事に仕舞って、時々こっそり覗くんです。

あぁ、あんなに好きだったなぁ、

そうそう、こんなこともあったよね。

あの人、元気してるかな。
……なんて。

終わってしまうけれど、自分のの中に、きちんと物語が詰まっている。

途中でページが煤けてしまったり、ビリリと破けてしまっても。

「ハッピーエンド」だとか、
「めでたしめでたし」、
「こうして幸せに暮らしましたとさ」

があっても、おしまい、ではなくて。
実は見えないところで、続いてゆく。

もし、命が、終わってしまっても。

人生という、分厚い、分厚い本が閉じられてしまっても。
誰かの心に、残っていたら、片隅に、おいて貰えたら
いいなぁ。って思います。

あんな人がいたよ、
仲良かったんだよね~、
昔、好きだった。

友達、家族、先生、会社の上司、仲間、ご近所さん…

どんな形でも、いい。
名前が分からなくても、顔を思い出せなくても、いい。
生きてちゃ、誰かしらと関わっているんだから。

僕の物語が終わっても、そこから、また物語は始まるだろう。

続きは、きっと、残された誰かが紡いでくれる。

だから、ゆるゆると、生きましょう?

このくらいのお気楽さじゃないと、やってられないわ。


#まだ続く物語

5/29/2025, 10:18:30 AM

………燕。

巣が出来ていた。
知らないうちに。

日々過ぎ去っていくものを、見つけて。気づいて。
ふとした変化に、耳を澄ませて。目を細めて。
そういうものが少し、嬉しい。
なんとなく、誇らしくて、また、もどかしい。

貴方はその羽を羽ばたかせて、去って行くのでしょう。

…ねぇ、いつかどこかで、お会いしましょう。
どうか、お元気で。

…僕もまた、どこかへ移ろって、渡っていくのです。

1人で飛んで、生きたくないな。
迷子には、なりたくないな。


燕の鳥言葉は、「幸福の予感」だそうです。


#渡り鳥

5/29/2025, 8:31:02 AM

……音がする。

紙にペンを走らせる、音。

時折話し声にかき消されて、また、無言になって。

さらさら、さらさら、コツコツ、………

鉛筆の音。シャーペンの音。
…時々、カチカチっていう、シャーペンのノック音。


鉛筆のしゅらっ、さらっ、って音の方が、実は好きだったりする。

シャーペンの方が、便利だけど。テストの時、何だか焦ってしまうのだ。そんな、硬質な、音。



………音が、止んだ。

「これなんだっけ?」


「………忘れた。」

「………ヤッバいじゃん」

「……なんとか、なるよ。多分。知らんけど。」

そんな、放課後。

…が、来れば良いなと思っている。

部屋に1人、ペンを走らせながら。
音は、聞こえなかった。

さらさら、さらさら。

いつか、ね。


#さらさら