どんな物語にもいつかは終わりが来る。
だんだん薄くなっていくページ、
あ、風に吹かれて、飛んでった。
好きなモノへの気持ちも、いつしか薄れて。
断捨離!とか言って今までの物語とさよならしたりね。
――好きだったキャラクターのグッズ
――友達と交わした手紙の束。
――あの人からもらったお菓子の缶、とか。
さよなら、ありがとう。
でも、きちんと思い出は大事に仕舞って、時々こっそり覗くんです。
あぁ、あんなに好きだったなぁ、
そうそう、こんなこともあったよね。
あの人、元気してるかな。
……なんて。
終わってしまうけれど、自分のの中に、きちんと物語が詰まっている。
途中でページが煤けてしまったり、ビリリと破けてしまっても。
「ハッピーエンド」だとか、
「めでたしめでたし」、
「こうして幸せに暮らしましたとさ」
があっても、おしまい、ではなくて。
実は見えないところで、続いてゆく。
もし、命が、終わってしまっても。
人生という、分厚い、分厚い本が閉じられてしまっても。
誰かの心に、残っていたら、片隅に、おいて貰えたら
いいなぁ。って思います。
あんな人がいたよ、
仲良かったんだよね~、
昔、好きだった。
友達、家族、先生、会社の上司、仲間、ご近所さん…
どんな形でも、いい。
名前が分からなくても、顔を思い出せなくても、いい。
生きてちゃ、誰かしらと関わっているんだから。
僕の物語が終わっても、そこから、また物語は始まるだろう。
続きは、きっと、残された誰かが紡いでくれる。
だから、ゆるゆると、生きましょう?
このくらいのお気楽さじゃないと、やってられないわ。
#まだ続く物語
………燕。
巣が出来ていた。
知らないうちに。
日々過ぎ去っていくものを、見つけて。気づいて。
ふとした変化に、耳を澄ませて。目を細めて。
そういうものが少し、嬉しい。
なんとなく、誇らしくて、また、もどかしい。
貴方はその羽を羽ばたかせて、去って行くのでしょう。
…ねぇ、いつかどこかで、お会いしましょう。
どうか、お元気で。
…僕もまた、どこかへ移ろって、渡っていくのです。
1人で飛んで、生きたくないな。
迷子には、なりたくないな。
燕の鳥言葉は、「幸福の予感」だそうです。
#渡り鳥
……音がする。
紙にペンを走らせる、音。
時折話し声にかき消されて、また、無言になって。
さらさら、さらさら、コツコツ、………
鉛筆の音。シャーペンの音。
…時々、カチカチっていう、シャーペンのノック音。
鉛筆のしゅらっ、さらっ、って音の方が、実は好きだったりする。
シャーペンの方が、便利だけど。テストの時、何だか焦ってしまうのだ。そんな、硬質な、音。
………音が、止んだ。
「これなんだっけ?」
「………忘れた。」
「………ヤッバいじゃん」
「……なんとか、なるよ。多分。知らんけど。」
そんな、放課後。
…が、来れば良いなと思っている。
部屋に1人、ペンを走らせながら。
音は、聞こえなかった。
さらさら、さらさら。
いつか、ね。
#さらさら