「かげのこ」
日差しの元で
かげのこ出てくる
お日さん1番元気な時間に
今日も足裏に
ちんまり
隠れる
お前さん、夕暮れ時になったら
のびり のびりと
大きくなって
家路を辿る僕の後ろから
やけに活き活きと
ついてくるのに
外はカンカン照りで
僕はそっと汗を拭う
今日のこれからを頭に巡らせ
かげのこを連れて
歩いてく
お題:日差し
「夏のはじまり」
朝
素足に風がからみつく
それが心地よくて
足をばたつかせると
そこいらはプールになった
遊び回るカーテンと
木の葉の歌を聴きながら
太陽が真っ直ぐ部屋に遊びにきた
ぱちゃぱちゃとした幻想
一人分しかないプールサイドで
夏が私を呼ぶ
夏が、始まる
お題:夏
「再出発」
長い間待たせて
ごめんね
ようやく わかりかけてきた
気がする
気がするだけ
だけど
まずは、暖かなハグをして
握手しよう
過去の僕も
今の僕も
大して変わっていないのだから
きっと、今日で
君とはもう
さよなら、だ
幼い日の僕よ
臆病なまま
不出来なまま
根っこは枯らさぬまま
僕は僕のままで
行ってきます
お題:君と最後に会った日
「陰日向」
繊細な花がおりました
それはとても強い花で
とっても心配性でしたから
深く深く根を張って
ちぎれんばかりに耐えて咲くのです
踏んづけられても、見えずとも
花は清らに咲きました
けれど、ご覧なさい、日が隠れた一瞬
ぽろりと露を
流すのを
お題:繊細な花
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(1日遅れー💦)
「笑い鬼」
明日のことでめそめそしていたら
鬼に笑われた
一寸先が怖くて、望遠鏡を覗いたら
もっと鬼に笑われた
1分1秒息を殺して、やり過ごそうとしていたら
さらに鬼に笑われた
そのうちに、
腕を引っ張られ
鬼の真ん前に座らされた
そこで、はたと目が覚めた
豪快な笑い声だけくっきり残った
見ておれよ
お前に笑われたちんけな命でもって
1年でも、2年でも
笑いながら生きて
俺の話を手土産に
お前をたんまり笑わせてやるから
覚悟しておけ
お題:1年後
「始まりはカーテンから」
悲しみや
絶望の中に
一縷に光る
美しい色を求めて
今日も、私は
窓辺に立ち
日常の
幕を開ける
お題:日常