「優越感と劣等感、このふたつがいじめに関わってる大きな原因でもあると思う」
へーそうなんだ。
作文発表の時に、あるクラスメイトが言っていた。
俺はつい、「違うと思います。」と言ってしまった。
クラスでは沈黙が流れる。
「ごめんなさい、なんでもないです。」
慌てて言った。
「こういう事ですよ。このように人が話してる時に口を出す。このようなことができる人は優越感に浸っている。と僕は思います。」
みんな笑ってる。
何が面白いのか正直分からない。
バカにされてるような気がして、泣きそうになった。
作文発表が終わった。
当然からかわれる。
「お前やっぱ脳無しだよなー笑」
「うけるんだが笑」
はは、だよね。
口には出さなかった。
「あの、ちょっといいですか」
教卓に立っていたのは、俺の親友だった。
「作文の内容は最終的に、いじめられている人が悪いという内容ですよね?失礼なことを言いますが、どう考えても虐めてる方が悪いです。それに加わって傍観者など、周りの悪さもありいじめが発達していくと思います。あくまで僕の考えですよ?さて、話に戻りますね。さきほど人が話している時に口を出すのは優越感に浸っていると言ってましたね。その件に関してはそうなのかもしれまれん。では、全員の前でその人をからかうのは優越感に浸ってるとは言えませんかね?口を出した後にしっかりと謝罪していました。それに比べてあなた方はどうですか?集団でからかうのはいじめだと思いますけどね。」
莉久…なんでそんなに優しくしてくれるの、俺もうなんもわかんない、
「は?何言ってんの」
「あほらし笑」
「どう考えてもこいつが悪いだろ笑笑」
「クソ陰キャの癖していきってんのがうざいしな笑」
「ごめんなさい。ほんとにごめんなさい。」
俺はこのままだと莉久がいじられると思ってひたすらに謝った。
「謝んなよ。悪くないよ」
「いやいや笑お前が悪いよ笑」
「莉久にカバーされてるからっていい気になってんじゃねーよ」
「莉久はこっちの味方で〜すw」
そうだよね。莉久が虐められなくてよかった。
「ちょっと、あー、もうお前らに敬語なんて使わねーわ。口を濁しますね。あんま調子に乗んなよ。言っとくけど俺はお前の味方になんかなんねーよ。自意識過剰ってやつ?うけるんだけど。俺、朔より大事な人いねーから。俺の親友なんだわ。口出ししてこないでくれない?
この説明で分からなかった人います?」
「……」
「いないね。朔いくぞ」
「ん、あのさ!」
「ん?」
「ありがと」
「良いよ」
「ほんとに、莉久」
「うん」
「すき」
「おー愛の告白ね〜恒例行事だね笑」
「莉久はー?」
「んー、大好きかな」
これまでずっと気になってた。
「ねぇ、僕のこと好き?」
「うん」
「ほんと?」
「うん」
「きいてよ…」
「うん」
いつもスマホばかりだよな。
「なにしてるの?」
「ゲーム」
最初から、俺の事なんて…
「ハハ、アハハ!なーに泣いてんの?」
「…」
「大切にされてないんだって思っちゃった??」
「うん…」
「ごめんね笑ちょっと検証してたの」
「けんしょ、う?」
「そ、いっつもスマホ見てるからぁ、俺のこと好きなのかなーって思ってさー」
「……ごめん」
「いいけどさ、見せてって言っても見してくんないから浮気してんのかとおもってさ」
「……」
「ずっと気になってたんだけどさぁ、スマホで何見てんの?泣いたってことは俺の事好きだよね?」
「うん、大好き。浮気じゃないんだよ、あのね……」
サプライズの方が良かったんだろうけど、俺下手だな。
「誕生日プレゼント、選んでた」
「そ、そっかぁ〜。ありがとな!安心した」
「ごめん」
「いや、浮気なんてするわけないのにな。信用しなかった俺がいちばん悪いわ」
「ううん、だいすき」
「俺も大好きだよ〜♡」
ピコン
【どこにいるんだよ】
気にしなくてもいいのにな
ピコン
【既読スルーすんなって】
ピコン
【どうせまた海にいるんだろ】
なんで分かるんだよ…
ピコン
【今から行く】
「なにしてんだよ」
「別に」
「LINEの返信くらいしろよ。こっちは心配してんの」
「ごめん」
「お前は無理すんなって言っても無理するよな」
「してないよ」
「何が怖いんだよ」
「……」
「抱きしめてあげようか?」
「おれ、大丈夫だよ。」
「なんで?」
「え、?」
「俺の事嫌いってこと?」
「違うよ!」
「じゃあなんだよ」
「抱きしめられたりしたら、泣いちゃうだろ。情けないんだよ、」
それから親友は俺を抱きしめながら
「安心して、俺がいるから」
と言った。
やっぱり俺は泣いちゃって
情けなくてごめんって何度も思った。
でも、何も言わなくても俺の事全部知ってる。
俺の気持ちも1番近くで理解してくれる。
大丈夫だよって励ましてくれる。
「お前がいなかったら、俺もうこの世に居ないかもな」
「俺がいるのに死ぬこととか考えんなよ」
「うん」
そんな親友に俺はいつも助けられて、
1番大切な存在です。
「あー、まただ。」
目が覚めて鏡を見たらまた目が腫れている。
めんどくさいな。
「おーお前相変わらずブスだよな」
から始まる学校。
毎日同じなんだよな。
あーあ。いっそのこと
目が覚めたら空の上だったりしないかな。
毎日嫌々学校に行って
無理やり色々やらされる。
やっと家に帰って唯一自分が認められたんだって思えることはオンラインゲームの中でしかなかった。
それが俺の当たり前の生活だと思ってたけど、
オンラインゲームで偽って
めちゃくちゃ元気でノリがいい自分をめざして
チャットしてると
どんどん友達が増えてきて、うれしいって思ってた矢先に、
俺は口を滑らせて1番仲良しだった人に
つい、「おれ、いじめられてるの」なーんて言っちゃって、
でもその人
真面目に受け止めてくれて
今では話して良かったって思ってる。
でもやっぱり
見捨てられんのかな
そんなことしかないから
不安なんだよ。
もう、やめてほしいんだけどな…