翠雨

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1/24/2024, 4:01:54 PM

君とは色々な場所へ出かけた。出かける度にたくさんの写真を撮った。でも見返すと君の顔が写っているものが全然ない。出てくるのは食べたものや風景、君が写っていても後ろ姿ばかりだった。
きっと君は写真に写るのが好きではなかったのだろうし僕も積極的にカメラに収めようとはしなかった。
でも1枚だけ君を正面から撮った写真がある。それは高校の卒業式に2人で残って教室で撮ったものだった。あの時のことは鮮明に覚えているしきっとこの先も忘れることはない。ただ君の表情だけ何故か思い出せず、あの時の写真をひっぱりだしてみた。
その写真は窓から差し込む西日で君の顔が見えなかった。正面から撮った唯一の写真も逆光で顔が見えないないなんて君らしい、なんて思いながら元の場所へ戻した。

「君の顔、いつまで覚えていられるかな」
もう君の後ろ姿が写った写真が増えることもないアルバムを抱えて目を閉じた。

1/18/2024, 3:25:26 AM

冷たい風が頬を冷やす。
ついこの間まで真夏だったのに。「暑いね」って笑う君とアイスを分けていたのに。
ずっと夏が続くと思っていた。ずっと君が隣にいると思っていた。
「寂しいなぁ」
木枯らしが夏と君を連れて行ってしまった。