君は今
君は今、どこで何をして生きているんだろう
前世で一緒だったあの子とはまだ会えてない
心に空いた穴は、思っていたより大きかった
でも、きっとまた会える予感がしている。
今はただ、あの頃のように幸せでいることを
願うしかない。
今日にさよなら
1日として、同じ日はないと思う。
流れる雲や舞台を見てそう考えた。
明日はどんな1日になるのだろう。
今日に別れを告げ、眠りについた。
誰よりも
調理魔法学を選んだ魔法使いたちは
作る物も、考え方も違うけれど
今日も料理を食べてくれた人間が、
食事の間だけは誰よりも穏やかな時間を
過ごしてほしいと願っているのだ。
そんな熱々な心を持った魔法使いなのである。
10年後の私から届いた手紙
私へ
人生どうでもいいって言っていたけれど、その気持ちは今もよくわかるよ。
でもね、どうでもいいて嘆いているだけじゃ何も始まらない。無力でもとりあえず出来ることをこなしていくしかないんだよ。
ゆっくりでいいからね。味方は必ずいるからね。
10年後の私より
追伸
あなたの大好きなカフェ、まだ営業しているよ。
バレンタイン
とある街の奥に、願いが叶うショコラトリーがある。
お店で取り扱うショコラには、心をほぐしてくれる力が込められているそうだ。噂によるとバレンタインにしか食べられない幻のチョコレートも存在するようだ。
バレンタインシーズンにしか出さない赤いバラと白いバラのショコラは、店主の青年が1つひとつ丁寧に作っているのだ。
「赤いバラの花言葉と白いバラの花言葉には、愛の告白の意味が込められている。お客様と渡した人たちの絆が強くなりますようにって祈っているんだ」
青年は、一緒に作業する妹と弟にそう語った。
バラのショコラにかけた想いは、青年の両親からも伝えられていたのだ。
「ありがとうございました!頑張ります」
バレンタイン当日。ショコラを購入して、笑顔で帰っていくお客様たちは希望に満ちていた。
どうか、甘く幸せな1日になりますように。
ショコラトリーの青年たちの笑顔は、チョコレートよりも柔らかだった。