踊りませんか?
月明かりの夜、舞踏会から外れた外で涼んでいた。
不意に後ろから
「こんばんは、お嬢様」
1人の青年に声をかけられた。話をすれば彼も1人で涼みにきたそう。
「よかったら、2人で踊りませんか?」
「いいですね。夜空がステージだなんてロマンチックだ」
言葉はもういらない。星や月が照らす下で踊り明かした。
彼とは再会することになるけれど、それはまた別の機会にお話しましょう。
巡り会えたら
もし彼女にまた巡り会えたら、愛してると伝えたい。
でも、それは奇跡が起きない限り不可能だろう。
僕と彼女は、生きる世界が違うから。
彼女に向けて、届かない想いを今日も叫び続ける。
奇跡をもう一度
奇跡がもう一度起こせるのなら、彼に会いたい。
夜空の下で笑い合った記憶を胸に、彼のいない世界で今日も生きていく。
たそがれ
車窓から見える夕方と夜の狭間。
街には少しずつ明かりが灯り始めた。
高層マンション、一軒家、アパート…
明かりの数だけ人生があるんだな。
そう思うだけで世界が少し愛おしくなってくる。
最寄り駅に着いて美しい空を見上げて歩き始める。
「おかえり」
横を見ると暗がりから父の顔が見えた。
同じ電車だったのだろう。
私も、おかえりと返した。
今日の出来事を話しながら夜に浸った道を進みだした。
こうして1日が終わっていく。
あの明かりへ私も帰っていく。
きっと明日も
テレビに映る大好きな彼ら。
学生時代からずっと応援していた。
振り返ればいつだって、彼らが心の中にいた。
コンサート翌日のニュースで、お揃いの色の衣装を着て楽しげに踊る姿が映っている。私はちょうどこの日に観に行っていた。
推したちは過去も今も、幸せをたくさんくれた。
私たちファンも、たくさんの声援を送った。
きっと明日も、明後日も、その先も私は応援し続けるのだろうな。
コンサートの思い出に心をほくほくさせながら、私は朝食のカフェラテを啜った。