過ぎた日を想うから
間に合ってない夢をみてしまった
ため息混じりに寝返りうっても
目の前には壁しかない 君はもういない
すごくたまにくる最高だけの日
これのためなら日々の平凡だって!
と思ったのはいつだったか
少しの勇気と心持ちでどうとでもなるのに
できることをすぐにやるほど強くはないから
もうしばらくはだらだら生きるだろう
きっと明日も文句言いながら頑張る
誰かの共感や応援を受け取れないけど
今日までの自分がケツを叩いてくれる
自分で選んだんだろって
ここまでやってきただろって
明日も今日と同じくらいには頑張る!
静寂に包まれた部屋で独り踊る
カーテン揺らした外の匂い
踏切をわたる終電車
でもここは暗いから輸入だけ
ひっそりと ぶつけないように
腕を回し 指を滑らす
体勢を変えながら緩急をつけて
誰の目も意識してない奇行なら
これこそ私の本性のはずなのに
皆の心にも置いてきたらしくて
衝動の糸が切れて頭出した情動
見えてないふりして踊り続ける
別れ際に本性が出る。「無粋でも伝えたい」が勝つから、いつも後悔に暮れている。彼に二度と会えないのはこんな自分に神が与えた罰ならいっそ楽なのに。現実は酷く正確に私の本性を映す鏡であり、逃げる気はなくとも弱音はいくらでも膨らむようだ。あの時の言い訳を、十数年ぶりの第一声を、今日も考えてしまう。
通り雨は錆びたトタンをいじめる
メンテナンスの音をかき消してくれるから
雨は好きだ
特にたまにしか来れない僕に都合よく降ってわいた
にわか雨はさらに好きだ
廃工場ゆえの雨漏りに目をつむれば
ここ以上の環境も望めないし
今できることをするしかない
最後のナットを締め終わったので
培養液のガラスに手を当てる
僕の近づいた影に気づき彼女は目を開く
心がないビー玉のような瞳で僕を見つめている
ああ良かった、まだ好きだ
まだ彼女を救ってあげたいと思ってる
その事実をつねって刻み込んでいたら
いつのまにか通り雨が去っていたので
その日は帰った
3日後、漏電で電源が落ちていたらしい
彼女は腐った培養液の中で亡くなっていた
あっけなく
また雨が降る どうせ通り雨だ どうせそうなる