NoName

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5/21/2024, 12:22:25 AM

   理想のあなた


 想像の中でいくつも、何度でも理想のあなたを作り上げた。
 そのたび私は自分に問いかけることになった。
「あの人への理想だけの塊なんて、今まで一体どこにあったの?」と。
 えくぼの無いあなた、苦いコーヒーが好きなあなた、大人っぽいあなた。それから……。
 理想のあなたを手放せたのは、あなたがいつも等身大の私を見ていてくれたおかげ。
 そうでなければ、今でも理想は育ち続けていただろう。

5/12/2024, 10:49:23 AM

   子供のままで


 いつだって人を見抜くような鋭さを、無邪気さが覆い隠している。
 けれどそれは計算された振る舞いではない。

 楽しければ笑い、悲しければ涙をにじませる。怒ったら飾らない言葉で、責めるでもなくただ事実を口にする。
 人の幸せを自分のことのように喜び、人の痛みにはそっと寄りそう。

 そんなあなたも、歳を重ねるごとに変わっていく。
 でも心は子供のままで、世界を見続けていって欲しいと私は思う。
 あなたがそう願っているように。

5/11/2024, 8:44:55 PM

   愛を叫ぶ。

 虹の先へ届けと、いまあなたに思いを叫ぶよ。
 どうか、自由でいて。

5/10/2024, 12:22:51 AM

   忘れられない、いつまでも。

 真顔。そらせない眼差し。鋭すぎる言葉。
 その時の私は何も分かっていなかった。
 ただ覚えているのは、あなたからの血を吐くような痛みだけ。

5/5/2024, 3:26:48 AM

   耳を澄ますと


 からだを横たえて、目を閉じる。
 そのままゆっくりと記憶に残る音に耳をすませれば、いまだにあなたの声を思い出せる気がするんだよ。

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