人に優しくするのは当たり前。
歳上を敬うのも当たり前。
勉強で良い成績は当たり前。
運動も出来て当たり前。
悪い子は罰を受けて当たり前。
そう私に教えてくれた母はとても厳しく優しい人だった。
それは、とても綺麗で美しい。
夜空に浮かぶ天の川のようにキラキラと光を放つ。
私達はそれを眺めては羨み、近づくことを望む。
そこが本来どんな所なのかなど知りもしないで。
『街の明かり』
『七夕伝説』
天の川に隔たれて会えなくなった織姫と彦星が年に1度だけ、かささぎの橋を渡り会いに行く悲恋の物語。
これは皆がよく知る七夕伝説だと思う。
☆―――――――――――――――――――――――☆
私達は七夕に出会った。
高校の頃に行った七夕祭りで友達に紹介されたのだ。
お互い一目惚れだった。
私達はすぐに仲良くなった。
色んな話をして、夢を語ってはお互いに応援した。
お互いが大事な存在だった。運命だとよく話していた。
そして、あの七夕祭りから丁度1年が経った頃同じ七夕祭りで彼から告白された。
もちろん、Yesと返事をした。
幸せだった。なにもかもが…
でも神様は意地悪で…
付き合い始めて2ヶ月が経った頃、彼は親の都合で海外へと行ってしまった。
別れ際、彼は必ず会いに来ると言ってくれた。
それから、彼はその約束を守ってくれた。
毎年七夕の季節になると帰ってきて会いに来てくれた。
しかし、ある年の七夕彼は帰ってこなかった。
その代わり届いたのは別れのメール。
他に想い人が出来たこと、私に対する罪悪感と謝罪。
そんなものが大量に詰まったメール。
私の彦星は天の川の先で別の織姫を見つけたらしい。
私の本当の彦星はいつ会いに来てくれるのだろうか?
『思い出』
中学2年の夏休み前、終業式の日。
担任が宿題にとだした作文のテーマである。
当時の私は作文が大の苦手だった。
そのため友人に手伝ってもらっていた。
思い出というテーマに頭を悩ませていた私は友人に向かって「何書いた??」と質問した。
私的には、運動会とか遠足、家族と出かけた思い出とかそう言うのを書いたと思って聞いていた。
だが帰ってきた返答は予想の斜め上なもの。
しかも、まぁまぁ返答に困るものだった。
「うーん?内容?あ〜。私はね〜母親が出て行った日のこと書いたよ!」
と元気にケタケタ笑いながら言ってのけたのだ。
当時それを聞いた私の頭の上はハテナマークでいっぱいだった。
「え?それ。え?作文に?」
困惑もいいところだ。
だが友人は気にしていないのか、「だって1番記憶にある思い出だもん!」とケラケラと笑う。
うん。いいんだよ?いいんだけどね?後ろにいる君のお父さん、めっちゃ気まずそうにしてるよ?なんなら私も若干気まずいよ?
神様どうか教えてください。
彼女に残った日々を…僕にできる事を。
彼女はいつも眠っている。
雲の様に白いベッドのうえで静かに眠る。
1年前、彼女が眠りについた日。
この日の前日はとてもよく晴れていて、彼女が出掛けようと言うから2人で出掛けていた。
彼女が嬉しそうに笑っているのが愛おしくて、色々なものを買ってはプレゼントしたのを良く覚えてる。
そして次の日彼女は目を覚まさなかった。
すぐに救急車を呼んで病院に行った。
原因は分からなかった。
ただ医者が言うにはまだ安心はできないらしい。
何せ原因が分からない、何が起きても不思議じゃないと。
それから彼女はずっと眠り続けている。
あれから1年間やれる事はやってきたし。
空いてる時間は彼女と過ごす様になった。
それでも彼女は未だに起きない。
彼女に残された時間は後どれぐらいなのだろうか?
そしてその答えは神様だけが知っている。
だから僕は祈るしかない、彼女の時間が止まらないことを。