愛のうたは似合わない

利害とか
そんなものでもない

君は夏に恋焦がれていたから
他の季節を僕で埋めていたいだけ
好きなんて、思ってないよ

上背がある君の佇まいの
その美しさに見蕩れているだけ
好きなんて、思ってないよ

愛のうたは似合わない

だけど、僕の隣を歩いて欲しいのは君
ほんとに、ただ、それだけだから

#7．ラブソング

僕は足をすべらせて
水死体になるんだろうな

#6．未来図

髪をつまんで回転させて
少し目を伏せた春が
頬に口付けを落とす瞬間が
どうにも
待ち遠しかった
不毛な冬が終わる前に
ゆるされていたい

#5．春風にのせて

剥き出しの心臓に突き刺さった愛
誰よりも死んで
ひとなみ以上の生きたいを破棄
星だってごみだ、なのに
君が聖者なわけないじゃないか
臓にまるめてつめ込んだ心の内
喪失の恐怖を
あの子より知っているぼくはつよい。
助骨のはずのぼくら、
死ねなかったはずの生きたいぼくら、
心臓を満たす君は生者

#4．星

ひらり、泡沫
ひとときの記憶にしがみつく
ふわふわふわ
かわいくしんだ昨日までのぼく
ひらり、泡沫
うつむいた明日と手をつなぐ
くらくらくら
世界ごとの回転と立てないぼく

ひらり、躱したまたねのあぶく

#3.ひらり