ℕ𝕠.6ー魔法ー
…昔
私は保育士だった
ねえ、わたしね!
まほうつかいになって、
たくさんのひとをえがおにしたいの!
そう
言っていた子がいた
17年経った今
その子も
保育士になったそうだ
そして
たくさんの子供と
母親と
父親を
笑顔にしているそう
そんな彼女と
今日、会った
彼女は恥ずかしそうにしながら
「あこがれのひと」
そう
表紙にギリギリ読めるような字で
書いてあるノートを差し出した
保育士だった時
沢山見た字だ…。
中を見ると
私の名前が
ページいっぱいに
書かれていた
…
そういえば
17年前、彼女はよく
「せんせいはまほうつかいみたいだね!」
と
笑顔で言っていたような…
ℕ𝕠.5ー君と見た虹
君と初めてあった日
毎日が暗かった
その日、雨が降っていて
昼間なのに
夜かのように
真っ暗だった
当時友達が一人もいないこんなぼっちに
“友達にならない?”
なんでか分からないけど
君は話しかけてくれたね
すごく嬉しかった
戸惑いながらも
“よろしく”
そう
君の手を握った
その時
雨は止んでいて
見た事のないような
綺麗な虹がかかっていた
あのとき一緒に
笑ったね
泣いたね
相談にのったね
2人で落ち込んだね
怒ったね
…いままで沢山の景色を
《2人で》見てきたね
そんな
必要不可欠な
存在《だった》
なのに
君は
“絶対また会おうね”
なんて言って
遠くへ行ってしまった
立ち尽くした
信じられなかった
嘘だと思いたかった
そんなのも気にしないように
君はどんどん
遠くへ進んでいく
その時に
雨が降ってきた
もっと
気持ちが沈んだ
もう
立ち直れないと
そう
思ったくらいに
しばらくしても
気持ちを変えることは
できなかった
雨も激しくなって
服も
心も
全部
ぐちゃぐちゃだけど
立ち直れる気がしない
でも
そろそろ帰らないと
流石にまずい
いつの間にか座り込んでいた
自分の体を起こして
立ち上がった
すると
雨は急に止んだ
空を見上げ
ふっ
と自然に笑顔になった
ようやく気持ちを切り替えることが出来て
君と
反対方向に歩いていった
雨が止んだ
その空には
あの日のような
虹がかかっていた
ℕ𝕠.4ー夜空を駆けるー
胸が踊るような
嬉しいことがあった夜も
立ち直れないような
辛いことがあっても
幾千もの
夜を超えていく
沢山の
夜空を駆けて
生きていく。
ℕ𝕠.3ーひそかな思いー
あの時ああしてれば、こうしてれば、あんなことしなければ
そう思ってももう遅い
もう、あの時のように君が隣で笑ってくれることはない
それでも
少し
心の中で思っている
"あんなことしてごめんなさい。また、あの日のように笑い合いたい"
って
ℕ𝕠.2ー手紙の行方ー
誰も助けてくれない
だから本当は今自分が吐き出したい弱音
それを文章にして書いた
誰かに届けばいいと
いま
誰かに届いて
私の本音を分かって欲しい