お味噌汁

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5/18/2024, 4:31:12 PM

お題「恋物語」

典型的に思える話かもしれないが、
僕は恋をした。いや、一味違うかもしれない。

その君の熱心な横顔に抱いてしまったのは、叶うことの無い悩ましげな恋心。

―僕ではない人に恋をしている、そんな君の事が好き。

愛おしげな目を、「誰か」に向ける君。
そんな君に対して、自然と恋心が芽生えていた。

「僕の事を見てよ」
可笑しな僕の満たされない欲望は、心の中でとどまっては散っていく。

僕は君には触れる事は出来ない。
どうか君にだけは軽蔑されたくない。

君の気持ちを弄ぶそんな「誰か」に、
僕がなる事が出来たらどれだけ楽だったの?

「君が好きなあの女の子になりたかったな」

僕が好きになるのは大抵いつも男の子だった。
周りにそれを言うと軽蔑される故、ずっと恋心も何もかも胸に秘めていた。

でも、僕がそんな眼差しで見ている君でさえもきっと僕の事を軽蔑するだろ?

誰にも言えない、ずっと続いている僕の恋物語。
君が好きな「誰か」に気持ちを弄ばれて辛いのなら、その「誰か」に、僕がなってはいけないのだろうか。