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6/1/2023, 4:38:32 PM

『梅雨』

雨の降る日が多くなる時期が今年もやってきた。
雨音が好きだとしても雨の降る日が多すぎると如何しても洗濯が思うようにはいかないので困る。

「師匠~、風邪を引きますよ~」
「あぁ…ごめんね」
「も~…これでも心配しているんですよ!!
雨の日なんて特に!!!」
「どうして?」
「…雨が降っている日の師匠は、
何処か遠い目で空を見上げていらっしゃるので、
目を離した瞬間に居なくなってしまいそうな気がして」

…驚いた。
まさか我が師と同じ状態だったとは。

「とにかくお気をつけ下さい…お願いですから」
「ありがとう」
「相変わらずわかった、とは言って下さらないんですね」
「断言できないことに頷いてしまうのは無責任な気がしてね」
「…そうですか」

…師匠、貴方様がこの空を見上げていらっしゃった理由が今はよく分かります。
なぜなら今の私の眼には、雨雲と雨そのものを挟んでいても分かるほどに主張してくる太陽の光はとても魅力的に映っていますから。