12/14/2024, 12:33:55 PM
「いま懐が寂しいの!」
親友の彼女がそう言うから、私達のクリスマスは近所の駅前のイルミネーションを見るだけの日となった。彼女は、かく言う私も趣味にお金を使い過ぎたのだ。夏休みの時は一緒に遊園地にでも行こーね!なんて話していたのに。
「きれいだねー」
「まあ確かにね」
確かに綺麗ではあるものの、決して大きな駅では無いから家庭のイルミネーションを少し豪華にした程度のものである。わざわざ見に来た人なんて私達ぐらいなのではないか。
「あっ! そう言えば、今日私メイク違うの気が付いた?」
彼女のイルミネーションへの感想はもう終わってしまったらしい。
「イルミネーションの輝きをイメージして、大きめのラメのアイシャドウにしたの」
そう言って、したり顔で彼女は目を瞑って指さし、瞼の上の輝きを見せつけてきた。
「きれいだね」
私がそう言うと、えへへと彼女は少し照れたように揺れて笑った。こちらを見ている彼女の黒い両の目にもイルミネーションの光が燦然と輝いていた。瞬きしては私を見ているきらきらした瞳。私は化粧だけでなく、彼女の自身のその目が、眩しい笑顔が、大好きだった。やっぱりあなたは
「きれいだね」
「もう聞いたよそれー」
また彼女は笑った。
【 イルミネーション】