『ひらり』
あの春、桜がひらりと舞う。
俺は誰かに名前を呼ばれる。だけれど何故だろう
俺は振り返った。でも呼んでくれた子は居なかった
探しても、探してもどこへ見回しても居なかった。
確かに名前を呼んでくれた。微笑んでくれた。
俺はスカートが大っ嫌いだ。ズボンが大好きで
プリンスになりたかった。プリンセスになんか
なりたくもなかったような気がする。だけれど
"あの子"のお陰でプリンスに近づけたはずなんだ…
なのに、何故"あの子"を思い出せないんだ?
でも…1番疑問に思ったことがあった。…それは、
みんながその子を知らないと言うことが一番の
疑問だった。
『芽吹きのとき』
あんま意味知らないけど…多分春の訪れみたいな
感じかなぁ…俺は恋愛に青春を集中したかった。
でも母さんはそれを許してくれなかった。
『テストは?』とか『部活は?』とか…めんどくさ
まじでお母さんは部活やテスト…勉強の事しか
考えてくれてない。俺のことは?俺の事を…大事に
思ってくれてないのかな…なんでだろう。
要らないってことなんだろうな…謝る事しか…
出来ないからなのかな…
『あの日の温もり』
俺は誰かに愛された自覚がない。だって、
愛されるなら愛した方がマシ…と思っていた。
みんなそれに釣られて俺は誰かを愛さなきゃ…
いけない状態になっていた。ぜったいに愛さなきゃ
俺は誰かの為に愛し続けなきゃいけなかった。
でもいつかは限界がきた。誰かに甘える事が…
できなくなってた。なんでだろう。もう…
愛さなきゃ…愛されなきゃ良かった。
『cute』
ピンク、可愛いもの、プリンセス…
女の子は誰しもが憧れる存在だとは思う。
でも俺は違ったなぁ…笑
青、かっこいいもの、プリンス
全部、男になりたくて頑張ってきた。プリンスに
なりたくて、かっこよくなりたくて髪も短くして
ズボンも履いて、なのに…母さんが『髪は伸ばせ』
とか、全部言ってきた。頑張ってプリンスになれた
はずなのに今じゃ髪はセミロング、スカートも履き
…自分じゃないみたいな感覚だ。この身体も…
男で、男を愛せたら…俺は心が軽かったような、
そんな気が…する。
『記録』
大会の日、あの日は忘れられなかった。
俺が大会、バレーの大会でリベロとして参加した
12人の中の一人として、チームの一員として、
ミスは1度しかなかった。それ以外は全て取った
なのに、なのにも関わらず、母は、、
『もっと取れたはず』みたいな事を言った。
正直なんも思いたくなかった。忘れたかった。
リベロとかを全て投げ捨てて消えたかった。
でもダメだった。全部ダメで放り投げれなかった
こんなダメ人間は要らないって事になるんだろうな