『風に乗って』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
くう、と小さくもお腹が鳴る。
味覚ごと鼻をくすぐるその香りは、どんよりと疲労の蓄積するからだの隅々まで染み渡るように、大いなる魅力すらも運んできたのだ。
しかし、自宅でそれを手早く作るにしても、一体なにが足りていないのだろうか。
普段のストックの確認を疎かにしたのは自分だが、どうにも困ってしまった。
いっそのこと、少し奮発をして出来合いのものを買ってしまうのも良いかもしれない。
こういう時ほど、輝かしき企業努力の賜物たちとレパートリーの多さに感謝をしたくなる。
帰路を進んでいた靴の先が、くるりと向きを変える。
ぼんやりと迷っていた本日の夕飯。
その中心へ添えるに値するものを得る、決定打であった。
【風に乗って】
『頭が良くなりたいな』
本を読む私の膝の上で、愛猫はすーすーと寝息を立てる。
澄み渡る空は、太陽と共に世界を明るく包む。
洗濯物が、風の流れに身を任せている。
風が止み、愛猫は目を開ける。何かを思い出したかのように、私の膝から降りて、日向ぼっこを始める。
雲ひとつない空は、太陽がよく愛猫を照らしてくれる。
読んでいた本を閉じ、昼ご飯の準備を始める。
「周りに流されない、偉い」
テストの点数を見ている私に、一人の先生が言う。他の生徒達は、お互いの点数を見せ合い、競り合っている。
私の点数は、他の人より良かった。自慢出来るほどの点数だった。
窓からの光は、見せ合っている生徒達を照らす。
私は、先生の言葉に身を任せている。
私は洗脳から解けた。ただ、自分の好きなように勉強したいだけなのに、先生によってプレッシャーを押し付けられる。
雲で覆われた空は、私の心を再現しているようだった。
閉じていた本を開き、勉強の準備を始める。
風に乗って
❋風に乗って❋
風に乗って あなたのもとへ飛んで行きたい
そして ずっと2人で過ごせる場所へ行きたい
風に乗ってどこかへ行ってしまいたい。
けど私にはそんな自由が許されていないの。
みんなは好きなように舞っていくのに、
空にも地面にも縁のない子がたくさんいる。
あ、私の番だ。
私は木から離れふわりと風に乗った。
ふぅと息を吹きかけた綿毛が風に乗って飛んでゆく。
そのまま君のところまで飛んでいけ!
テーマ『風に乗って』
風に乗って
あなたに会えるように
風に乗って
飛んでいきたい
なな🐶
2024年4月29日1113
【風に乗って】
どこからか聞こえてきたフレーズはいつかの日にあなたが口ずさんでいた歌のそれで、思わず足を止めて振り返る。揺れる木々の気配。花の香り。楽器の音色。あたたかな風が吹く中で、振り返った先には誰もいない。
やがて、わたしは歩みを取り戻す。あの時、あなたはどんな言葉で歌っていたのだろうかと、記憶を手繰り寄せながら曖昧に口ずさむ。あたたかな風が吹く。楽器の音色が、花の香りが、木々の気配が遠ざかる。それでもわたしはひとり、歌い続ける。べつに、誰かに届けたい訳ではなかったけれど。
新しい人生が始まった私は。
風に乗って、彼からの便りが来るのを、ずっと待っている。
風に乗って
今年も来た。
風に乗って飛んでくる。『花粉』が来た。
花が生き残るには大切なもの。
あー、鼻がかゆい。
#風に乗って
雨上がりの夜明け
春の終わりの朝
いちじんの風にさらわれて
消えてしまった
タイセツ
たったひとつ失くしただけで
次から次へと
ワタシの中から何かが
消えてポッカリポッカリ
穴が空いてく
受けとめる術を知らない
愚かさに今更
…笑える
さらうなら
私の記憶をさらっていってよ
泣くことも笑うことも
もう要らないから
髪を切り風が囃し立てるから
頬に君を感じて僕らは恋に落ちた…
#38「風に乗って」
たった数秒で通り過ぎた綿毛など
きっと誰の記憶にも残らない
けれど、私はもしかすれば
誰かの故郷の綿毛かもしれない
その誰かは寂しさを抱えているかもしれない
嗚呼 まだとべる
まだ あなたの所へゆくまで
あなたの心に 花を咲かせるまで
だからきっと、覚えていて
風に乗って
私は風が好きだ
季節の香りを運んできてくれるから
春の昼下がりには心が穏やかになる花の香り
夏の夜には胸がいっぱいになる香り
秋の朝方にはカラッとした香り
冬の夜中にはすーっと心地よい冷たい香り
この以外にも様々な香りが
風に乗って私の元に来てくれるのだ
5月の前半に夏の香りがした時は
地球温暖化が脳裏に浮かび
「うわぁ……今年絶対暑いやん」
と眉間にシワがよってしまったが
夏の香りが1番好きなのですぐに許せた
夏祭りを花火を堪能したあの頃が蘇る香りだから
風に乗って 詩
この思いよ届け
風に乗ってどこまでも
届かぬ想いも何もかも全部
風に乗ってどこまでも
青春のその先へ届け
こんにちは。
私、須藤霧子。
『刹那的に生きる』がモットーの、どこにでもいる女子高校生。
だから、学校も気分で行ったりいかなかったりしたんだけど、ついに先生に呼び出され怒られた。
無視しようとも思ったけど、進級できないと言われれば話は変わる。
『刹那の女』の異名を取る私であるが、仲のいい友達と離れる事だけは避けたい。
自由には責任が伴う事を思い知ったね。
明日からきちんと出よう。
そして、楽しく明るい学校生活を送るんだ。
そう決意した翌朝、見事に寝坊した。
私は起き抜けに制服に着替え、朝食のパンを咥え、玄関を出て走り出す。
我ながらベタだなあ、と思いつつも懸命に走る。
今日は遅刻するわけにはいかないのだ。
家から飛び出して全力で走る。
人間追い詰められたら、
このまま行けば間に合うな。
そう頭の中で計算し、遅刻回避の文字が浮かんだ時、それは起こった。
なんと曲がり角から、人が飛び出してきたのだ。
反射的に止まろうとするが、勢いは殺せない。
これは駄目かと、思わず目を瞑ってしまう。
走った勢いのまま人にぶつかり、体が空中に投げ出される。
そして空中に投げ出された私は地面に叩きつけられ――なかった。
恐る恐る目を開けると、私は空中をすーーと飛んでいた。
まるで、アクションゲームなどで当たり判定の処理をミスったキャラクターの様にである……
バグかあ……
そう思った刹那、私の頭に電流が走る。
そして私は思い出す。
前世の事をを。
私はトラックにぶつかって一度死に、この世界で生まれ変わったのだ。
そして、ここはゲームの世界。
タイトルは『パンと少女とファンタジー』という、有名なバグゲーである。
さっきぶつかったのは、この後転校して来るであろう私の運命の相手。
衝突イベントは、ゲームを開始して最初のイベントであるのだが、そこそこの確率でこうして吹き飛ぶ。
本来ならこの後、転校してくる彼との再会イベントが発生するのだけど、彼はぶつかった衝撃で世界のかなたに吹き飛ばされたので学校に来ない。
しょっぱなからこれなのだから、バグゲーとして大いに有名になった。
もちろんバグはこれだけではなく、数多のバグがプレイヤーを待ち構えている。
例えばこの後の転校イベント、当事者がいないためイベントが起きないかと思いきや、彼の代わりに世界を脅かす魔王が転校してくるのである。
本当、何をどうしたらそうなるのか不明すぎて、一時隠しルートではと噂されたほどである。
もちろん、そんなことは無い。
ぶっちゃげそんなイベントに参加したくないので、『刹那の女』としてはサボりたい気持ちでいっぱいである。
だけどこのバグは、常に学校の方に吹き飛ばされ、そのまま窓から教師に直接入り、自分の席に着席、それと同時にHRが始まると言う、悪夢のような流れなのだ。
ほんとどういうバグだよ。
そして、このイベントを無事こなしても、様々な頭の痛いイベントが待っている……
これからの学校生活は不安でしかない
やっぱり、刹那に生きることにしよう。
私は自由の利かない空中で、私は決意を新たにするのであった。
向かい来る強風に歩みが鈍る。
足元で大人しく踏まれていた桜の落花が、解放されたように宙へ浮かび飛んでゆく。
前へ進まなければいけない私は今どうしても、この風に乗って貴方に春の終わりを告げたい。
風に乗って
「風に乗って」
ふわり、ふわり。綿毛たちは思い思いに旅をする。
さあ次はどんなところで根を張るのかな。
風乗って色んな物が運ばれてくる
花びら
香り
雪
風は色んな所を旅している
今はどこを旅しているのだろうか
たまには土産話も聞かせて欲しい
風に乗って
たんぽぽの綿毛みたいに
飛んでいきたい
責任のない
自由な空へ
飛んで消えてなくなりたい
風に乗って
小さな種が飛んできた
幾日かの時を経て
春になり
可愛い可憐な花を咲かせた
小さな手が花を触った
初めての感触に
驚きもあったけれど
その感触は喜びに変わった
小さなその子の笑顔が
周りに笑顔の輪を広げた
花は枯れまた種となり
風に乗って別の地に飛んでいく
また別の地で新たな物語が始まる