『貝殻』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
貝殻
海に行くとたくさんの貝殻がある
これは一つ一つに命があったという証
貝の中でいろんな経験を積み重ね
外の世界へ旅立った跡
海へ行くと今は貝の中にいる自分も
外の世界へ呼ばれている感覚になる
【貝殻】
不法投棄されたガラスの破片。
それが海で揉まれて角が取れるとシーグラスと呼ばれる。
キーホルダーやアクセサリーの素材に人気なのだとか。
貝も石も丸くなるのに、ガラスだけがシーグラス。
人間も一緒。この世に生まれ落ちた命。
それが社会で揉まれて個性が取れると大人と呼ばれる。
毒にも薬にもならない程度が扱いやすくて良いのだろう。
みな等しく『普通』になるのに、生まれで扱いは変わる。
不平等だなんて声を上げても変わらない。
石はガラスにはなれない。シーグラスにもなれない。
石はどれだけ削れて丸くなっても、ただの丸い石なのだ。
けれど人の手が加われば、価値あるモノへと姿を変える。
そのためには見つけてもらわないといけない。
屑石も原石も磨けば光る。磨く人がいれば、光る。
もし大人になれないまま歳だけ取ってしまったら。
見つけないといけない。個性を認めてくれる誰かを。
私はまだ、見つけてもらえることを期待している。
だって私はガラスではないけど石でもない。
そのままの姿でも価値のある、人の目を引く貝だから。
そして、ようやく出会えたの。私自身を見てくれる人。
あなたは「大人になれ」なんて言わない。
誰かと比べない。冷めた目で見ない。決めつけない。
私は私。他の誰でもないし、誰にもなれない。
簡単なことなのに、あなたしかわかってくれなかった。
見つけてくれたあなたのため、私は努力をする。
できる限り言うことを聞いて見捨てられないように。
「良い女だよ」どこかから聞こえるあなたの声。
「自己評価の高いバカは扱いやすくていい」嘲り笑う声。
あなただけと合う対の貝殻でありたかった
//貝殻
最高に天気が良い日
青年が最も恐れていたのは、死ぬことよりも、薬品くさい病室に死ぬまで閉じ込められることだった。
口元に何本ものチューブを繋がれて、身動きが取れないというのは、拷問みたいなものだと思った。
おまけに、彼には妻はおろか恋人すらいない、孤独な青年だった。
「病院なんか行くもんか。そうだ、俺は青空の下でのびのびと死んでやるぞ」
青年は恐らく内臓を病んでいた。吐血を繰り返しては、市販薬で症状を抑えていたが、もはや手遅れであることは彼自身がよく分かっていた。
青年はその日、いつも通りきちんと会社に遅刻せずに行き、定時になるまで仕事に励んだ。三年間続けてきたことだ。
ただ、同僚に「この後飲みに行かないか?」と誘われたが、それは断った。できるだけ一人でいたかったからだ。
青年は仕事を終えて、会社から駅に向かう途中で吐いた。
真っ赤な血だまりを見て、「もう、会社には行けないなあ」と呟き、駅のトイレでうがいをすると、電車に乗って自宅へと向かう。
幸い、今日は金曜日で、週末は会社は休みだった。
「チクショウ! まったく待ちくたびれたぞ。暇潰しの人生にしちゃあ長すぎだぜ。まったく」
彼はアパートに戻り、冷蔵庫からビールを取り出すとゴクリゴクリと飲み干し、ソファーに横になる。
「明日だ。明日中に死のう。ほうっておいても死ぬが、俺の命は俺が終わらせてやるんだ」
彼は家族の写真を取り、亡き両親の姿を見つめる。
「父さん、母さん、俺、もうすぐそっち行くから」
青年はそのままソファーの上で眠った。
朝、目覚めたとき、口元が真っ赤だった。やれやれ、と彼は起き上がり、風呂場に行くと汚れた服を脱いで髭を剃る。
それから着替えた後、彼はアパートを出た。天気が最高に良くて、彼は少し気分が良かった。
どこへ行くか決めていなかった彼は昼頃まで歩き続けてしまった。立ち止まったのは、橋の上。
青年はひらめいた。ここから飛び込んでしまおう、と。高さは十分だ。ゴツゴツした岩が川底から見えるから、着水の衝撃で死ねるだろう。
「よっと」
彼は橋の上に立ち、強烈な吐き気に襲われながらも、空を仰いで腕を伸ばした。
「君! 何をしてるんだ!! 危ないから降りたまえ!!」
麦わら帽子の中年の男が彼に駆け寄るなり、叫んだ。
「やーだよ」
彼は真っ赤な口元を歪めると、そのまま飛んだ。
「ああしまった」
彼は落下しながら叫んだ。
「俺、まだ朝食食べてなか…」
貝殻
今日は、大好きな君と、沖縄の透き通った綺麗な海に来ている。「ねぇ!見て!この貝殻、素敵じゃない?」とまるで子供の様にはしゃぐ私に、君は、キスをした。「もぉ〜!何急に〜!そう言う急とか、照れるし、反則だから〜!」と言うと、君は、また私にキスをした。「今のは、急でも不意でも無いから、良いだろ?」と…「うん」と言いながらも私は、照れた表情を隠せずにいた…そんな君が、そんな君の全てが大好きで、愛おしい…これからもずっと君の隣。これからも君の隣にずっと私はいる。これからもずっと何度でも貴方の隣で貴方への愛を奏で、沢山囁こう。「大丈夫!例えどんな時でも、私が君の隣にいるよ!」いつも、貴方は、私を安心させてくれるから、今度は、私の番!頼りないかもしれないけど、これからは、もっと、私の事も頼ってね💕︎だって、来年の今頃には、もう二人は、同棲してるんだからさ✨
貝殻は、部屋だ。自分を守るための硬くて分厚い壁であり自分でさえ出るのに苦労する部屋。人間の脳みそも似たようなものだ。あくまでイメージでしかないが、引き出しのようなものがあり、ラベルが貼られているのだ。
だが時に、いくつかラベルが貼られていないものもあったりする。それらは、大抵自分が掘り起こしたくない記憶だったりする。
だからこそ、開くのには覚悟が必要になるのだ。中身は開かなければわからないのだから。
覚悟はあるか?
お終い
海に遊びに行った
浮き輪で浮かんでた
高い波が来て、ワーキャー叫んでた
砂浜はサラサラで、どこ探しても貝殻がなくて
少ししょんぼりしてたら海の中に一つだけ
白くて綺麗な二枚貝を見つけた
写真を撮って満足したので、海に帰して帰った!
貝殻
可愛い背中だ
おもむろにしゃがんだかと思ったら
小さくうずくまって
懸命に濡れた砂浜を探している
黙々と
遠目から眺める
小さな背中を見守る
大きな海
訪れる度に慌てる背中を
弄ぶかのように
揺れる波
愛おしい時間だ
貝殻
さざーん。
巻貝に耳を近づけると海の音がする。
大自然の恵みを感じる。
母なる海の音。
『貝殻』
イングランド東端で、約180年前に発見された、貝殻で装飾された『シェルグラッド』と呼ばれる地下洞窟がある。
185平方メートルの空間の内部の壁や天井は、計460万枚もの貝殻を用いた装飾で、びっしりと埋め尽くされている。
花や太陽に見えるマークやハート型のシンボル。全体的にモザイクのような模様になっていて、天井からは太陽光が差しこみ、芸術的な空間を演出する。
かように豪華なつくりの空間を建築したにも関わらず、誰がいつ何のために作ったのか、一切分かっていない。
古代の神殿なのか、秘密結社の集会所か、密輸業者の隠れ家なのか。謎は謎を呼んでいる。
古代の人々の考えや習慣、儀礼は
現在生きている我々には理解できないほど
ミステリアスなものである。
理解できないからこそ、理解できない部分を
いろいろ想像して、穴埋めしていくのが楽しい。
実際、合っているかは知ったこっちゃない。
だって世界中の歴史学者が議論し合っても
分からないんだから。
自分なりに解釈してもいい。
みんな。歴史を学ぼう!
楽しいよ〜
海なんて何年も行ってないな〜
最後に行ったのは相当小さい頃かな
波打ち際で塩水に触れながら砂遊びしてた
貝殻も紛れて小さな生き物と遊んで
また海に行けたらいいな
美味しい、美味しい、ご馳走の時間だ。
全てを吐かせてから。
そのまま、
炙って、
焼いて、
茹でて、
煮て、
あとは何が出来るだろうか。
隅々まで味わい尽くして、残ったそれはどこに飾ろう。
まだ、生きてる?
『貝殻』
〜貝殻〜
硬く閉ざし身を守る
他人にすれば厄介なこと
自らすれば必要なこと
硬く閉ざした中は安全
でも生きるためには
閉ざしたままではいられない
少し開いて中に入れる
それは思わぬ産物を生み出した
自らの意思で入れた
小さなものは"しん"となり
年月をかけて完成体となる
いびつな形
綺麗な形
光り輝く色
魅力的な色
小さなもの
大きなもの
全ては自らの意思のままに
そうして人を魅了する真珠は生まれる
浜辺に打ち上げられた貝殻を拾い上げ
穴に耳を当ててみる
どこかしこかの波の音が聞こえた後に
「たすけて」
という声が鼓膜を貫いた
びっくりして貝殻を離し
浜辺に落とす
最近は海での事故が多いときく
この貝殻はいったいどこの波間から
この浜に流れ着いて来たのだろう
【貝殻】
~貝殻~
海で拾った貝殻に耳をあてる
遠くの方でさざ波が聞こえる
そんな詩的なこと
人生で一度くらいしか
やったことないよ
「貝殻」
夏休み最後の週末、クラスの仲良しグループ30人で海に遊びに来ている
私はリーダーの前で披露したウミガメの産卵シーンがウケてグループの仲間入りを果たせた
どうしても仲間入りしたかった理由がある
そう、三年間想い続けた彼へ告白するためである
クラスで2軍の彼と接触できるチャンスは今日が最初で最後だと思い、恥を忍んでナミダを流して卵をたくさん産んだのだ
彼の水着姿が見られるなんて…私は体の芯を熱くした
これで満足してはいけない…今宵、彼と一つになるのだ
私以外、みんな海で楽しんでいる
チャンスがきたっ…ここでジャージを脱ぎ捨てこの大胆な水着で彼のもとへ駆け寄ればイチコロのはず!
貝殻を拾い耳にあてる…波の音が私を落ち着かせた
「セックス」
貝殻がそう呟いてくれた
恥を捨てろ、私は新人グラビアアイドルだ、どんな仕事でもやるんだ
私は満点の笑顔と貝殻ビキニで彼のもとへ駆けだした
今日の嫁いびりは、アサリのお味噌汁のアサリは貝殻だけでした。
ほぐすの手間かかってて、お疲れさん。
年金暮らしの義理の両親、結婚してすぐ同居の為仕事辞めたまま働かない夫。三人の生活費を稼ぐ私。
離婚準備、整いました!
私がいなくなったあとは夫の不倫相手の風俗嬢にたんと稼いでもらってくださいねー!
子供の頃、海に連れてってもらった。
その時に集めてた貝殻は、いまだに実家の押し入れに眠っている、かな?流石にもう捨てられてるかな。
もしあったとしたら。何の回なのかもよくわからないその貝は、化石のように家のどこかを漂っているのだろうか。
堆積する、海のかけら。
小学生の頃に母とクラフト教室で作った貝殻のフォトフレームに入れるポストカードを変えようと思い、美術館に向かった。
みたい展示があるとか、年間パスポートの元を取りたいとかではなく、貝殻のフォトフレームのために美術館に行くのはわたしにとっては珍しいことではない。
貝殻のフォトフレームには今はゴーギャンのタヒチの女を入れている。次は何のポストカードにしようか。クールベの波なんかどうだろう。うざったい残暑にぴったりの色合いだ。
イタリア暮らしの収穫は?
スポーツ紙の記者に聞かれて
ムール貝を食べるのが上手くなりました
と答えた
ご自分で料理もされるんですか?
モテたいですから。
そっけなく答えて、空港からあいつの部屋へ急ぐ
ムール貝の貝殻が積み重なるたびに
あいつに会いたい気持ちも積み重なっていたんだ
「貝殻」