『街』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
この街の中心にそびえ立つ塔
真上にある満月が全てを照らし
全ての影を作っていた
一人の少女はそんな塔の屋上に立っていた
風が強くて体を揺らし
彼らのように突き落とそうとしてくる
ゆっくりと一回転し街を見渡す
ビル群は残業成果の灯りが並び
住宅街は睡眠時間だと強制するように静かだ
大好きで
大っ嫌いなこの街
月に向かって手を伸ばした
だれか助けてくれる人が降って来ないかなって
そんな期待をした
でもその期待を裏切るように
何が月から降りてくる
あれは一体?
お題『街』
煌々と輝く看板たち。
雑念と並んだ建物たちが、皆一様に蛍光色を光らせる。
低高問わず並ぶ光り物たちに紛れた赤信号がゆっくり瞬く。
うなじで簪が揺れる。
浮ついた雑踏の中を、私は足音を高らかに鳴らして歩く。
いくつもの視線が刺さる。
この花街ではお馴染みの視線だ。
私は凛と背筋を伸ばし、それを受け流しながら、歩く。
『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』
この街で恋を売る者にとって、常に意識すべき戒めの言葉だ。街を歩く時、私は常に心の裡で、唱えて歩く。
べったりと欲望の滲む風に乗って、怒鳴り声や呻き声が運ばれてくる。
この街は暗黒街でもある。
この街の、雑多に輝く灯りと人混みが作り出す深い夜の帳には、溢れんばかりの人の欲望が、昏く際限なく渦巻いている。
この街の、そんな混沌さが、私は好きだ。
この街で働く者たちが客を選ぶには、それ相応の価値が要る。
完璧な自己責任が暗黙のルールであるこの街は、実力も努力も持ち合わせない者には際限なく厳しい。
銭に見合う価値のない者たちは、使い潰され、打ち捨てられる。
華やかな街並みを背景に、打ち捨てられた黒い人影がひっそりと蹲っている。ここはそんな街だ。
そして、時にはそんな影と、ふと目が合うことがある。
…ちょうど今のように。
白濁した薄い膜の張ったような瞳が、こちらを見上げている。
不均等に乱れた髪をそのままにして、爛れた右目を引き攣らせて、異常に緩慢にこちらを眺める、未成年とも満たない、くすんだ少女。辺りに保護者は見当たらない。
こういう子どもには、胸が痛む。
この街で捨て置かれる人間は、大抵が自業自得だ。
街の風景に同化しているこの手の人間は、自身の怠慢や不注意から、自分が取れる範囲の責任を超過したことをそのまま地を這いつくばった者たちなのだ。
…だが。だが、そんな人間に巻き込まれ、生まれた状況に恵まれないだけで、不運にも、捨て置かれる人間がいるのだ。
捨て置かれた人間から、この街に生まれた子どもは、その際たる者である。
少女は、殴られた後の仔犬のように、怯えと卑屈の滲む顔で、じっとこちらを見つめている。
綺麗な顔立ちだ。
すっきりとした目鼻立ちに、柔らかそうな頬。前髪にかかったまつ毛は、長く跳ね上がっている。
……美しい子だ。私よりもずっと。
気がつくと、私は少女に手を差し伸べていた。
「おいで」
たくさんの言葉が脳内を駆け巡り、指先に迸ったが、口から出てきた言葉はそれだけだった。
おずおずと、緩慢に、彼女は私の手を取った。
ボロボロだが、大人よりはずっと柔らかい。
薄汚れた瞳は焦点を絞らないまま、こちらの瞳の奥をじっと見つめている。
街の喧騒が遠い。
体にも教育にも悪そうな、この街の、ビビットカラーのネオンたちだけが、私たちを照らしていた。
街
朝は静かみんな仕事に出かける
夜は疲れやストレスを発散するためにあの街にいく
たまにはいいよね発散しないといつかパンクしちゃう
題 街
一緒に歩きたい人がいる。
だけど、街に誘えない。
遊びにも、どこにも。
私の心が臆病だから。
一言声をかければいいのに
そしたら、結果が分かるのに。
それでもその結果すら
知るのが怖くてどうしようもない
一緒にいたいよ
隣でいたい
私の隣にはあなたしかありえないと
確信しているのに
臆病な心は
言葉を紡ぐのを拒絶する
結果を告げるあなたの顔を見るのが怖いから
あなたと話すのは
こんなに楽しいのに
この心のぐるぐるを
誰か収めてほしい
私はどうしたらいいの
どうしたら勇気が出るのかな
どうしたらあなたの横に並べる?
そんな事を考えながら
私は今日も平然とした顔であなたと話す
チャンスを伺いながら
あなたへの本心をひた隠しにしながら
我が家は広場の真ん中にあって、四方に道が伸びている。
南の通りに入れば本屋が並ぶ。
東にはCD、北にはゲームショップ。
西の通りは映画館がたくさん。
住んでいるのは私ひとり。そういう街を心に描く。
好きなだけ孤独になれる街。
『街』(春)
猫がブロック塀の上であくびをする。
桜が風に撫でられる。
散る沢山の花びら。
その1つが、寝転がる川の背中にちょこんと乗る。
今年も君と春を迎えられてよかった、と
花びらは微笑む。
子供たちが公園を駆け回る。
紋白蝶がそれを追う。
飛び交う子供たちの歓声。
それを遠くで佇み見守る木陰が私を誘い込む。
今年もあの人とここで春を迎えられたらな、と
私は微笑む。
そして少しだけ、空の彼方を見つめる。
「街」
都会にはキラキラした人生を送っている素敵な人ばかりだと思っていた。
そんな都会に憧れ、わたしはど田舎の地元を離れて東京に行った。
いざ住み始めるとその生活はキラキラと輝いていた。
でもそんな気持ちもすぐに変わった、
ほんとは心に闇を抱えたくらい人が多くまいにち泣きそうになる毎日。
今週末にでも実家にいこうかな
【街】
観覧車
遠くに見える街は
僕には大きかった。
母を置き去った故郷は
遠くも心はそこにあった。
観覧車
遠くに見える街で
僕は仕事に明け暮れた。
母を置き去った故郷は
遠くも心はそこにあった。
観覧車
遠くに見える街に
護るものを見つけた。
母を置き去った故郷は
遠くも心はそこにあった。
観覧車
遠くに見える街を
妻と子と眺め笑う。
母を置き去った故郷に
想いを寄せて帰省する。
観覧車
ゆるりと
流れる時と人
ゆっくりゆっくり
出会い、繋がる。
荒れ地も湿地も砂漠も森も
人交わりて街となる
『街』
『街が消えた日』
どかーん、と
爆発一つ、二つ、三つ…
真っ暗闇の空から光の雨が降り注ぐ
それが家や地面にぶつかって
どかーん、と
爆発一つ、二つ、三つ…
昨日まで確かにあった
僕の家も
学校も
人も
街も
ぜんぶ、ぜんぶ
どかーん、と
爆発一つ、二つ、三つ
簡単に吹き飛んで消えていった
僕らの3月9日東京
海の見える街で育ったから
トンネルを抜けても
林の中を進んでも
通り抜けた先から
海が見えないとわかったとき
故郷から遠く離れた場所へ来てしまったのだと
ようやく気付いた
今日好きな人に告白しました。その返答が中学生になったらまた告白していいよって言うからと言われたのでワクワクしました。また違う人の事が好きになるかもしれません。なので期待はしません。
あの頃の自分にはあの街が都会だと感じていた。
シャッターばかりのただただ長い商店街。
小さいぼろぼろの映画館とゲームセンター。
デパートなんか行った日にはすごいはしゃいでた。
大人になってビルばかりの街に住んで、旅行にも行って、
違う土地を知ってしまうとすごく廃れて感じる。
でも逆にあのとても新鮮だった気持ちは
今の私がどこに行っても感じれないような気がしている。
私には明確に故郷だと言える場所があって、
それがとても幸せなことなんだと思える。
今週末に帰るよ。待っててね。
街
田舎者の私にとって若い頃からずっと憧れてきた街
華やかで 何でもあって オシャレな人が多い街
就職先は絶対街にしよう!と決めていたあの頃
まぁそれも叶えられなかったのだけど
あの会社に行けていたなら
私は私の得意な事を仕事に出来ていたと思う
思うだけだけど
今も華やかな街は好き
でも 住む環境としてはこの田舎が最適
足るを知る
ナツキとフユト【8 街】
ナツキが朝食の後片付けを引き受け、フユトは出勤して行った
ナツキは、マンションの窓から外を覗く
眼下に、朝日に照らされた街並みが広がっている
ぼんやり眺めていると、足早に駅に向かうフユトの姿が見えた
ナツキは、微笑みながらつぶやく
「この景色、好きかも」
(つづく)
No.26『街』
私の日常のほとんどは室内にいる。
街になんて出かけないし、出たいとも思わない。
でも、閉じこもってばかりじゃ何も得られないということに最近気づいた。
だから私は今度街に出て見聞を広げてみようと思う。
「街」(一行詩)
迷路な街中を無造作によろよろろ
◆
摩天楼ビルの花が咲く街中
◆
一夜限りの色沙汰が街路に転がり
ここに来た時は、どんな未来が待っているのか、不安と期待が入り交じっていた。
救急隊の仕事に就いて、その仕事でヘリに乗る。
朝だったり、昼間だったり、夕方だったり、夜だったり。
色々な顔を持った街。
そして、色々な人達と、彼女と出会えた。
今、ここが俺の街。
おわり
お題:街
川の流れる街。風が吹く街。海の見える街。人のいる街。動物の暮らす街。僕の家がある街。
皆どこかの街で暮らしていて、いろんな方法で生きている。その街の自然と触れ合い、心を豊かにする。その街の動物と触れ合い、癒しを見つける。その街の人と交流し、自分を見つける。皆いろんな苦悩の中で自分のため、周りのために今を生きている。
お題『街』
・2『街』
スキュラは自分の住む街が嫌いだった。
特に男達は私を向こうから歩いてくる
無料のエロコンテンツくらいにしか思ってない。
ほんとうに嫌だ。
私はいつも海に来てしまう。だれも来ない浜辺があって
もったいつけて、誰に見られるわけでもないのに
格好つけて、ダルくて、訳アリそうな女を演じながら
歩くのがすきだ。
ほんのちょっとだけ浅瀬に入る。
早く誰かと出逢いたい
運命の誰かと。
【続く】