『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
そこには記憶の破片が床に散らばっている。
病室の隅で背中を丸めてしかめっ面をしているじいさんに僕は言った。
「じいさん、死ぬの怖い?」
じいさんは、こっちを静かに見つめてかすれた声で「さあな」と呟いた。じいさんが怖いと言わなくてほっとした。何故だかは、わからないけれど。
僕はじいさんが好きだ。
病室。
何もしなくても苦しい。
ここに居たくない。
君のもとへ行きたい。
窓の外を見て届かない声で言う。
生きたくて
でも、明日が怖くて
この牢獄で閉じこまれる
病室から見える〝君〟が、
どうしようもなく醜かった。
隣のベットの君に、
喧嘩して骨折したって嘘ついた。
転けたなんて言えないだろ……。
“病室”
真っ白な天井
真っ白なシーツ
真っ白な肌
真っ黒な未来
忘れもしないあの日、
五月の爽やかな風、
差し込む日差し。
病室。
そんな午後の面会時間に、
君は来た。
二人きりで会ったのは、
あれが初めてだったんだ。
#病室
病室。
私にとっては大事な場所。
それは、好きな人と会えるからだ。
でも、それと同時に悲しい場所でもある。
病室で会うんじゃなくて、外で、色んな場所で会いたかったな。
病室
早く出てぇな~
「病室」
病室にいるとものすごく暇。
誰か来てくれないかなってそんなことばかり考えてしまう。
あなたを待っています。
初めて僕が入院した日、何にもなくて殺風景だった。
でも、ぼくはそこが好きだった。
だって星と君がお見舞いに来てくれるから。
〈病室〉
鼻を刺すような消毒の匂い
明るくない照明
簡素なベット
全てが嫌いだった
そして何より苦しそうな貴方を見るのが
なによりもいやだった
病室の窓から見る
キラキラな世界が好き
病室
ぼくが人生を共にした場所
ぼくをここまで生かしてくれた場所
たくさんの人と出会った場所
たくさんたくさん苦しんだ場所
何度ももっと生きたいと願った場所
何度もいっそはやく死にたいと思った場所
こんなぼくのそばに居てくれた場所
こんな人生のぼくを産んだ場所
ぼくが最期に目にした場所
僕の人生の場所
初めはみんなお見舞いに来てくれたのに
もう誰も来てくれないね
みんな泣いてばっかりで。
僕のこと忘れてないなら
病室に来てよ。
一緒に
向こうへ行こう?
病室…
白くて何も色のない部屋。
その片隅で私は寝ている。
朝は、起きて外をながめている。
お昼は、外で皆が遊んでいるのをながめている。
私も、外に行きたいな。
夜は、寂しくて泣いている。
私は、いつまでここにいるのかな。
私は、いつになったら治るのかな。
私も、皆みたいに外に出たい。
病室
再会は病室だった
お互いに居所は知っていたけれど
電話もかけたことなかった
10年くらいかな?
あなたと離れて暮らして
でも不思議
昨日まで一緒にいたかのように
自然だった
私、今こんな仕事しているの
何歳になったか知ってる?
話したい事いっぱいあったけど
あなたも私も黙っていた
窓辺のカーテンが揺れて
それを見ていた
次の日も次の日も
その場面が
一番最後で一番新鮮な
あなたといた時
病室の窓からふと見えた。
春の桜
夏の花火
秋の紅葉
冬の雪
全てが私には愛おしく見えた…
病室
今日も天井が白い
夢という名の絵を描く
12色の色鉛筆
放課後
思いっきり校庭を走りまわる
友だちと大声で笑いたい
消灯時間過ぎて
仲良くなった子と夜空みる
自慢げに星座、教えたい
冬の朝
チェックの襟巻きして駅へと向かう
定期券をピッてやってみたい
自分の足で歩いて海に行きたい
叫びたい、めっちゃくちゃな感情を
そして 生きているって感じたい
夜空見上げ
突然、泣きじゃくった子
どこにいるの
会いたいよ