『柔らかい雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
柔らかい雨
土砂降りでも
小降りでも
普段は固い雨が降っている
けど
君がそばにいてくれたら
柔らかくて、優しい雨が
流れ出す
冷たいと思ってた
こんなに暖かかったんだね
見えるものを
見えるがままに
感じたことを
感じるがままに
握りしめていたけど
溶け出した氷が
手首をつたって袖の中に入るのを
君は暖かいと言ったから
私も傘を閉じた
首筋から身体の温みが溶け出す
ゆっくりと沈んでゆくように
空が深く、近くなってゆく
もう冷たさは感じない
ただ、柔らかい雨が
雲の隙間へと
私を誘ってくれるから
#柔らかい雨
「柔らかい雨」
しとしとと 雫が落ちてく この道に差しかかった数分なのに 君はもういなくてさ
柔らかい雨
春から初夏にかけての雨は
細かくて地に纏うかのような
包み込む雨で
ふんわりしてあたたかい
土に畑に降ると
細かい水滴が染み込まずに
細かく白く光っている
クモの巣が水の粒をつけて
模様が浮き出てくる
アスファルトはほんのり黒くなり
その暖かさで白く煙りたつ
歩道を歩く
「柔らかい雨」
静かにひっそりと奏でられているそれは
耳をすませば聞こえてくる
小さいながらも、音を奏でて
旋律を紡いで優しく心地よく耳に響いてくる
沢山の小さな音が重なり合って
1つの音となり小さい音ながらどこか神秘的な
雰囲気を持っている。
この音はいつも聴けるわけではない
雨が奏でる、その音は小雨の時しか聴けない
特別な音である。
小さなその音楽は耳を済まさねば聴こえない
特別な音楽。
それらが奏でる音楽は毎回、音色が違い
その瞬間しか聴けない特別な音楽。
自然が生み出した音色をぜひ聞いて欲しい。
耳をすませてほしい。
柔らかな雨が奏でる、その音楽を。
『柔らかい雨』
たんたらたら
たんたらたらと
打つ音が歌われた
痛みと無縁の身であれば
かなしみとは別の心情を
その雨滴に抱いたろうか
喧騒を忘れた夜の隅で
そんなことも思ってみる
「柔らかい雨」
...練習後に浴びる、温かいシャワー
今日も一日が終わろうとしている
外は、雨の柔らかい音が響いている
まだ、あの人が帰ってきていない
涙も出なくなって、1人で静かに夢の中へ
落ちていく
柔らかい雨
今日、主人が死んだ。
空の上へと行った。
お葬式があった日は、雨が降っていた。
その雨は、温厚な主人のように、暖かく柔らかに地面を打ちつけた。
柔らかい雨
眠れない夜、スマホで雨音を流しながら眠りにつくことがある。
雨音をただ聞き流し、音に集中しないで、雨の中に佇んでいる様なきもちの中で、いつのまにか眠りにつく。
考え事で頭が一杯で眠れぬ夜のBGMは、私を優しく包んでくれる雨の音。
『柔らかい雨』
あの日と変わらない曇り空
いつかは雨になるのかな
あの日も雨になったっけ
雨は冷たく、痛かった
いつもと同じ雨なのに
いつもと違う雨だった
掠れた遠い憧憬は曇り空
しばらくすると雨が降る
小さかった手を引く大きな手
雨はぬるく、優しかった
いつもと同じ雨なのに
いつもと違う雨だった
いくつもの雨を越え
今日もまた雨が降る
小さかった手は大きくなり
ぬるく、優しかった雨は
冷たく、痛い雨になる
手は大きくなったのに
僕の心は泣いていた
いつもと同じ曇り空
もうすぐ雨になるだろう
いつもと同じはずなのに
いつもと同じはずなのに
何故こんなにも柔らかい
小さな手を引く大きな手
柔らかい雨が僕たちを包む
引かれる小さな手と
大きな僕の手を
努力なくして成長なし。
毎日リスク回避の生活。
集団活動、集団生活苦手
5年間、私の傍で時を共にした犬が死んでしまった。
散歩中に、車に引かれそうな子供を助ける為に繋いでいたリードを外し、ひかれてしまった。
引いた車はそのまま逃げ去った。
信号が変わり、私はすぐさま横たわった犬に近づく。
弱々しい心臓の鼓動。止まらない血液。
──もう、ダメかもしれない。
と、脳裏をよぎる。
私はそっと抱き寄せ、
「…いい子だね。今まで…ありがとう…。」
と、涙を我慢し震えた声で伝えた。
苦しそうな顔をしていた犬の表情が和らいだような気がした。そして、息を引き取った。
悲しみに囚われた私に、空から柔らかな雨が降り始めた。
まるで、愛犬が優しく私を包見込んでいるかのように───。
今日は雨だ
雨音が家にいても聞こえる
ひとりぼっちの家
縁側では
屋根から滑り落ちてきた水が
ぽたぽたと垂れてきている
好奇心で外に出てみると
思っていたより寒くて
体が震える
それでも体に当たる雨は
柔らかくて、
頬をつたる水は暖かい
「今日は一日中雨となるでしょう」
お天気予報士のきれいなお姉さんが
画面の向こうで喋っている
休日の朝なのに外は雲で真っ暗だ
何となく気分が重い
それでもいつもと変わらない1日。
「柔らかい雨」
柔らかい雨は真綿のように
ワタシを包むの
貴方からのあったかい
ワタシを穏やかにさせる
言葉の雨
傘をさす
必要なんてないから
放り投げて
貴方の胸に飛び込むの
どうか貴方の行く道は
永遠に晴れでありますように
貴方が少し疲れてしまった時に
柔らかい雨が貴方を包み込みますように
どうか幸せと安らぎを
雑音を吸い込んだ
柔らかい雨が
アイラインを滲ませ
黒い涙を伝わせる
そんなに
濡らさないで
大丈夫だから
流したいものは
もう
何も無いから
「柔らかい雨」
大丈夫。
君は1歩、進んだよ。
そう言って火照った身体を優しく優しく
冷やしてくれるような
柔らかい雨が心に染み渡る。
「柔らかい雨」
柔らかい雨が私を刺した。
じんわりとした優しい痛みが身体中を駆け巡る。
自然と涙が溢れたのは、きっと嬉しかったから。
こんなにも幸せな痛みがこの世にあったなんて、あなたと出会わなかったら知ることもできなかった。
『ありがとう…っ』
涙を堪えながらの精一杯の笑顔。
あなたの目にはどう映ったのかな…。
激しい雨に打たれて
何もかも洗い流してしまいたい。
そう思う時に限って
なぜか優しく降り注ぐ
柔らかい雨。
大丈夫。
大丈夫だよ。
柔らかい雨