『忘れたくても忘れられない』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
忘れたくても忘れられない
あの時の言葉
視線
傷ついた記憶
何度も繰り返し
思い返される
そこに見えるのは
空っぽの宝箱
あの時開けた
宝箱の中には
心の鎧と強さと優しさが入ってた
振り返っても
もう中身は空っぽなんだよ
君が乗り越えて手に入れた宝物は
もう君の中にある
君はもう 過去の君とは違うんだよ
未来に見える新しい宝箱の中には
何が入っているかな
君の人生には、まだまだ
沢山の宝がちりばめられているよ
さあ、一緒に集めに行こう
【お祭り】← change order 【忘れたくても忘れられない】
◀◀【やわらかな光】からの続きです◀◀
⚠⚠ BL警告、BL警告。誤讀危機囘避ノタメ、各〻自己判斷ニテ下記本文すくろーるヲ願フ。以上、警告終ハリ。 ⚠⚠
残業事務員総出のお出迎えにいささか面食らい、アランとゲーアハルトは仲良く身体を支え合っていた手をお互いの腰からそろそろと誤魔化し笑いで下ろしていく。次いでゲーアハルトがわざとらしい咳ばらいをして姿勢を正し、
「いやはや、私たちのにぎやかすぎたおしゃべりが業務の手を止めさせてしまったようだね。わざわざ集まってくれたというのに、見苦しい見世物ですまない、諸君」とさっきまで北の言葉でアランとふざけていたのを南の言葉に変え、涼やかな顔で詫びを入れた。すると見物人の中から一人、淡々とした物言いで口を開く者があった。
「……ビックリした……騒がしいからてっきりリーダーが戻ってきたかと思いきや。専務だったんすか」
その人物は先ほど「社長は現場だ」と教えてくれた事務員だった。残業のおやつだろうか、スナック菓子のミカドの箱を片手にポリポリ食べながら目を丸めるだけの地味な驚きを見せて言葉を続ける。
「しかも、えーと……アラン・ジュノーさん、でしたよね?意外なコンビではしゃいでのご登場だったんでさらに驚きっすよ。ああ、専務とご一緒ということは、無事社長に会えたんすね?」
ニッと笑ってアランたちの前に歩み寄り、いかがです?とチョコレートコーティングされたミカドの箱を差し出してきた。せっかくだからありがとうと言って一本頂いておく。呆気に取られていた他の社員たちだったが、彼ののほほんとしたマイペースな行動でフッとリラックスした表情に戻っていった。
「ジャンルカ、今日も時間外勤務してくれて感謝するよ。ジュノーさんを知っているということは、もう君たちとは紹介済みなのかな?」
ゲーアハルトも一本貰い、ミカドを指揮棒のように優雅に軽く揺らしてもてあそびながらアランと彼を交互に見つめて訊ねる。それからポリっと良い音をたててひとくち噛った。アランも倣って口に入れる。ジャンルカもさらに一本くわえてポリッ。ちょっとしたポリポリ音の合唱、ジャンルカをはじめ、アランもゲーアハルトも社員たちも、居合わせたみながクスクスと楽しげに笑い合った。
「ええ、エルがここの事務員全員にジュノーさんを紹介してくれたんで。でもすぐ社長を探しに出てっちゃったから、女子たちがめちゃ嘆いてましたね。けどまさかまた事務所に戻って来られるとはねー。定時でさっさと帰った女子たち、あとで知ったら大騒ぎして悔しがりますよ、きっと」
ジャンルカが話しているあいだ、俺にも寄越せ、わたしにも!と他の社員たちが彼のミカドの箱へ手を伸ばし一本づつ抜き取っていく。しかし彼は無頓着で一向に気にせず、興味津々のハシバミ色の目をアランたち二人に向けたまま話し続ける。
「けど今度はエルじゃなく専務が付き添いでここにお戻りってことは、なんかかしこまったお話し合いでもするんすか?もしかして人命救助で、州とかコムーネのお偉いさんから勲章とか感謝状とかがジュノーさんに贈られるとか?」
おお、とジャンルカの愉快な当てずっぽうにみなが冗談半分のノリでお祭り騒ぎに色めき立つ。苦笑しつつゲーアハルトが首を横に小さく振って口を開いた。
「残念ながらそういう事情ではなくてね。けれど良い考えだ。そこまで大々的には難しいが、我が社からちょっとした感謝の贈呈式を催すのも悪くないね。ジュノーさん、ご招待には応じて頂けますか?」
なおこの式ではドレスコードを布きますので、野暮ったい格好は厳禁と致しますこと、ご了承のほどを ―― 続けて真面目な口調でそんなことを耳もとでささやかれ、吹き出してしまいそうになるのを懸命にアランはこらえた。
▶▶またどこかのお題へ続く予定です▶▶
・忘れたくても忘れられない
親にされたこと。クラスメイトにされたこと。元彼にされたこと。上司にされたこと。
全部。全部。全部頭から離れない。
私だけ覚えてるのが許せない。私だけが引きずってるのが許せない。
嫌な事しか思い出せないのが許せない。
何もかも許せない自分が許せない。
いっそ記憶喪失にでもなってしまえたらやっと幸せになれるのに。
お題:忘れたくても忘れられない
『いつかの影踏み』
子どもの頃のこと
いくつ覚えているだろう?
鬼ごっこもかくれんぼも
捕まらないでいることが得意だった
でも影踏みだけはいつも負け続ける
影は自分についてまわるから
自分の過去のようで苦手だった
それでもいつも思い出す
あの時、誰かが言ってくれた
「影は自分の過去に似ているけど
過去の努力は絶対に自分を裏切らない
影はもうひとつの自分
今までをきちんと生きて来た証」
『自分の影は自分の鏡』
あなたには忘れたくても忘れられない
そんな言の葉はありますか?
【忘れたくても忘れられない】
僕があの日
はじめてできた友達
✕✕くんはいつも僕を守ってくれた
だけど、消えた。
好きだった、のにな
「忘れたくても忘れられない」とかけまして
「10キロのお米」と解きます。
その心は「思い出す/重いです」。
あの人の匂いとかしゃべり方とか笑顔とか忘れたくても忘れられなかった、いつもあの人を心の中でさしてたな
長いお題、困るんだけどなあ。「忘れたくとも」なのか、「忘れたくても、忘れられない」なのか、幾度か迷ってしまった。
忘れたくても忘れられない過去、みたいな投稿が多そう。でも、今の僕に忘れたい過去なんてないなあ。それとも、もうちょっと人生経験を積めば生まれるのだろうか。ただ、僕が思うに、忘れたい過去など生まれないと思う(僕は、ね)。黒歴史も含めて僕の歴史だから。ただ、いじめられたり、トラウマ植え付けられたりしたら忘れたいかもしれない、、、それこそ、トラウマは忘れたくても忘れられないものだけれど。
忘れたくても忘れられない油揚げ……。忘れたくても忘れられないお稲荷さん。忘れたくても忘れられないキツネうどん。あぁあ。
忘れたくても忘れられない
貴方の独特な雰囲気
貴方のゆったりとした喋り方
猫背
貴方の仕草
貴方の考えていること
全て忘れられるものなら忘れたい。
…忘れたくても忘れられなくて苦しいけれど、でも、嬉しい。
…まだ、貴方のことを好きでいられる証明だから。
『忘れたくても忘れられない』
どこか懐かしく感じる甘くて少し苦い匂いがして振り返る。
貴方は、もう私のことなど忘れてしまっただろうか。
あの人のことが
忘れたいのに
忘れられない
今は何をしているんだろう
どんな思いで
生きているのだろう
私のことは
きっと忘れたいんだろう
ごめんね
忘れたいよ
私も
でも なぜだろうね
結局、他の人を好きになったって
思い出すのは貴方ばっか、
忘れたくても忘れられない。
こんなに好きにさせといて、
なんで、居なくなったん、
ばか、
最近嫌なことが多かったからか、悪い思い出ばっかり思い出しちゃうんですよね。
昔はそんなことなかったんですけど。
時の流れと心の移り変わりは残酷ですね。
昨日の夜ご飯何食べた?
と聞かれても覚えていないし
昨日何をして過ごしたか
と聞かれてもすぐ出てこない。
毎日のことって覚えようとしてもどうしても忘れてしまう。
でも、どうしてだろう。
君のことだけ忘れたくても忘れられない。
忘れたいのに。君との思い出も全部白紙に戻したのに。
いつも頭のどこかで君を考えてしまう。
もういいよ、
忘れさせてよ。
スマホが壊れた時に消えたアプリ…
「忘れたくても忘れられない」
あの日
あの時間
あの場所で
-忘れたくても忘れられない-
《忘れたくても忘れられない》
それはズバリ、黒歴史
君を忘れたくて忙しくした、友達と笑いあった、けど全部心の底から笑えていなかった、取っても取れない君との記憶が僕の頭にはしつこく残っていた。
愛というのはもっと、尊くて、清らかで、美しいものではなかったのか。こんな自ら望んで身を切るような無味の苦しみを、取り憑かれたように追い求めるものだったか。陽炎の揺らるような暮れの中、蔵の中はひたりと冷えるような感覚があった。こころのそういう部分に踏み込んだような感触が。
理性を縛る理性があるのだ、と、ここにきてはじめて気が付いた。手探りで真暗な闇をいくときの、夏のい草の香りが生易しく。苦しみ続けることに美徳を見出してしまう愚かさを、こんなものを、愛と呼びたくなどはなかった。
それは精神的潔癖だろうか。モラルも一種人間的本能であるらしい。欠けてなどいない。いないといったら、いないのだ。こんな真夏の外れの場所は、たしかに此処から帰れるだろう。それでも、忘れたくても忘れられない。忘れたいとも思えない。
僕は日記をつけていた。
高校に入った頃から10年間、毎日欠かさず書いていた。
どんなに忙しくても、その日の出来事や思ったことを書き綴っていた。
最愛の彼女が、病気になるまでは。
難病にかかってしまった彼女は、治療方法が見つからず、薬で症状を押えながら延命措置を施すしかなかった。
余命を宣告されても、徐々に体が思うように動かなくなっていても、彼女は笑顔だった。
そんな彼女を見ていたからか、僕は彼女を支えられるよう努力した。お見舞いもできるだけ行って、色々な事を彼女に話す。仕事の話、同僚の話、家族の話。楽しかったことを彼女に伝えていた。
他愛もない話を、ニコニコと聞いてくれた彼女が大好きだった。
仕事に行って、休日はお見舞いに行ってと目まぐるしい日々を過ごすこと一、二年。
彼女が天国へ旅立っていった。
その日も体調は安定していたが、いきなり様態が急変して、そのまま帰らぬ人になってしまったらしい。
僕は仕事中だったので、夜に彼女の母からの電話で知らされた。
前日も、彼女と話して笑いあっていたのに。
また旅行に出かけたいね、と未来の予定も立てていたのに。
来週本を貸すからねって約束したのに。
あっけなく病魔が彼女の命を奪っていった。
涙は不思議と出なかった。
むしろようやく苦しい闘病生活から開放されたのだ、どうかあっちの世界では安らかに楽しく過ごして欲しい、と安心の気持ちがあった。
でも、もちろん今までいた存在がいなくなるのは大きく、心にぽっかり穴が空いたようだった。
そこからはほとんど記憶が無い。
気づけば彼女の葬儀も一通り終わっていて、時間が過ぎていった。
そして先程、彼女の三回忌が終わった。
電車に揺られ、一人暮らししている家へ帰る。
ゆっくりネクタイを外し、椅子に座る。
部屋を見渡すと、少し物がごちゃごちゃとしていた。
彼女が亡くなってからの三年は自分の事にはもちろん気を遣えていないため、家事もしっかりやれていない。
そろそろ片付けるかと、のそのそと床に散乱している本やカバンを取ろうとしたその時。
バサッ
一冊の本が棚から落ちた。
なぜ今?と思い、拾いに行く。
落ちたのは自分がかつてつけていた日記。
もう何年も開いていないから、埃をかぶっていた。
『こんなところにあったのか。』
埃を手で軽くはらい、日記を開く。
そこには、彼女がまだ元気だった頃の日々が綴られていた。
映画に行った、彼女が家に来た、色々書いてある。
『ふっ、色んなところ行ったよな。』
懐かしいなとペラペラめくり、手が止まる。
あるページから字が違う。
日もだいぶ空いてから書いてあるが、その日付の頃は彼女はもう闘病中だったので、書いてる暇は無い。
これは紛れもなく、彼女の字だった。
彼女は短期間退院する事があった。
その際、よく僕の家に来ていたから、僕の目を盗んで書いたのかもしれない。
彼女の日記はとても短かくて、数ページだけ続いていた。
【 7/22
日記書いてないんだね。代わりに私が続き書いとく。
今日は仮退院日。体調も良いから気分もいいよ。】
『君らしいなぁ。久しぶりに会えてはしゃいでたよね。』
【 12/18
薬で体しんどいけど、君の家来れてよかった。
どうしても会いたかったの。
浮気してないかな。】
『するわけないだろ。僕には君しかいなかったんだから。』
【 3/3
ひな祭り!!ちらし寿司美味しかった〜君の料理好きだな。】
『病人なのに、沢山食べてたね。ちょっと心配だったけど嬉しかったよ。』
【 10/5
体調安定しなくてなかなか来れなかった。今日も朝はしんどかったんだ。私このまま死んじゃうのかな。】
『不安だったよね……言ってくれれば、良かったのに。』
視界が歪む。
ホロホロと涙が頬を伝った。
久しぶりの彼女の言葉たちに、嬉しさと寂しさを感じたのだ。
そして彼女が遺した日記の最後のページを開く。
【君へ。
きっともう私は長くない。
急に苦しくなるし、もしかしたら前触れもなく君の前から消えちゃうかもしれないけど、それでも許してね。
戦ったけど、もう負けそうなんだ。
もしかしたらこれを読む頃には、私はもう死んじゃっているかもしれないね。
私が居なくても、ご飯食べて、寝て、幸せになるんだよ?
私以外の人と付き合うな!なんて言わないから笑 】
彼女らしい文章に、ふっと笑ってしまう。
そういえば、こういう子だったなと。
【 あ、でも一つだけ。】
【誰かを愛していても、私の事はたまにでもいいから思い出してね。】
【2/15 あなたの幸せを願う者より。】
彼女が最後に残した願い。
きっとどんなにたくましい彼女でも、誰かの中に残っていたいと。僕の中で生きていたいと。忘れられたくないと願いたかったのではないか。
その憶測は、一度止まりかけた涙をまた流すには十分だった。
『……っ、忘れるかよ……忘れたくても!!忘れるわけないだろ!!』
日記を抱きしめて、うずくまる。
ただ静かに声を殺して泣いた。
その日初めて、僕は彼女の死に向き合う事ができた気がした。
#忘れたくても忘れられない