『宝物』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
宝物って
いっぱいあったらすてきかな
わたしは
ひとつがいいな
ひとつを一心に愛して
一心にだいじにして
一心に磨き上げて
一生それを色んな角度から眺めて
ついてしまった傷をなでて
一生あたためて
そんなことが できるひとでいたい
「宝物」
あなたが私にかけてくれた言葉
あなたと行った場所
あなたから貰った物
あなた自信
私にとって “あなた”が関わっていることは
宝物なの
「捨てちゃうの?」
あどけない声に振り返れば、そこには幼い自分。
目の前のもの全てに目を輝かせて、好きなものを小さな腕いっぱいに抱え込んでいた頃の、無垢な子供。
薄汚い心も世の中の理不尽も、何も知らなかった頃の、馬鹿な、子供。
「捨てるよ。」
幼い自分から目を背けて、手にしていたものをゴミ袋に放り込む。
「もういらないから。」
ずっと集めていたキャラクターのカード、キラキラしたガラスの破片、何が描いてあるのかもわからない絵、友人に貰った手紙、まぁるいビー玉、ボロボロのぬいぐるみ。
全部全部、大切に仕舞っておいたものばかり。
「大切なものじゃないの?」
「……大切だよ。」
好きだから集めて、大切だから仕舞っておいた。
誰に見せるでもない、自慢するでもない。
ただ、自分の手の中にあるのが嬉しかった。
「でも、捨てないと。」
日記帳をゴミ袋に押し込む。
拙い字で綴られた頁が、ぐしゃりとシワを作った。
「捨てないと、『大人』になれないんだよ。」
「……ふぅん。」
幼い自分が、ゴミ袋の中を覗き込んだ。
せっかく捨てた色んなものを、また引っ張り出しては眺めている。
「変なの。大切なもの捨てなきゃいけないなら、僕大人になんなくていいよ。」
「……なんなきゃいけないんだよ、大人に。」
幾ら望んでいなくとも、否応なしに時間は進んでいく。
子供のままでいたいと願っても、社会はそれを許容しない。
そうして皆、子供の頃の大切なものに蓋をして、ゴミ袋に放り込んで、全部捨て去って大人になるのだ。
それが、社会の『当たり前』なのだから。
「ねぇ、捨てるなら僕にちょうだい。」
「……ぇ、」
幼い自分が取り出した、ほつれたクマのぬいぐるみ。
いつ貰ったのかもわからない、大切なもの。
本当に、大切だったもの。
「だって、いらないんでしょ?なら、僕がもらってもいいよね?」
「ぇ、あ、まって、」
色んなものを詰め込んだゴミ袋を、幼い自分が持ち上げる。
半透明の袋の中は、きらきらと色鮮やかに輝いている。
「捨てるんなら、僕がもらうよ。じゃあね。」
きらきら、きらきら。
幼い自分が持ち去っていくゴミ袋から、光がこぼれ落ちて尾を引いた。
光はどんどん遠くなり、小さくなっていく。
「待って!!」
伸ばした手は届かずに、光は闇に呑まれて消える。
後に残ったのは、空っぽな心だけ。
「……まって。」
本当に、大切だったんだよ。
[宝物]
困っちゃうね、大切なものが沢山あると
守れないものがが出てきてさ。
犬のぬいぐるみ
ピンクのワンピース
キャラクターのハンカチ
ガチャで出たマスコット
匂いのする消しゴム
テーマパークのクッキーの缶
履き慣れたスニーカー
雨垂れ模様の傘
きらきらのピアス
ノートの切れ端に書いた手紙
お揃いのシャープペン
ふざけて撮った写真
キミがうたう歌
あぁ、増えていくばっかりだ。
【宝物】
宝物
宝物と書いて心身と解くとすると
宝をゴミにする輩は多い
物は気をつけないと壊れる
心が壊れるとは
心が不安定で
身が壊れたとしても予防は割と出来る
心と身は繋がっているようで
その実は身に乱されている心で
心とはその身に委ねられている考え
ほとんどは
記憶の仕方の違いではないかと
間違いに囚われいて
基本的に身は常に正しく作用している
習慣的な病気が心の病なのかも
コントロールされてない心は素直だけど
その素直さが醜くくもある
多くの人間には醜くい心はある
それを過剰に相手にしないことが
醜くさをほどく作業だと思われる
醜さにある間違いを正すことは不可能で
それは他人が出来ることではない
自らの妄想の他人に支配されては駄目
あなたにとって
あなたが宝物であることを願う
宝物
私の宝物は誰にも触れさせたくない。
その思いは物心着く前から自然と出来ていた気がする。
今まで絶対本当に大切なものは人に話さなかったし、たとえ親でもどれだけ近い人間でも自分の口から決して言うことは無かった。
その思いは変わらない。これからもだ。
宝物
それはあなたと過ごした日々。
離れ離れでも毎日電話した時間。
雑踏の中、待ち合わせした駅であなたを探した瞬間。
一分一秒と短くても会うたびにワクワクした感情や思いが、
今の宝物。
私の宝物は、パッと浮かばない。
けど、友達とバカ出来てた日が
友達と嫌になるほど居た日々が
意見がぶつかりあった日が
友達とちょっと悪いことをしてたあの青春が
また来ますように、って。
そう願ってしまうほど、あの日々を溺愛してた。
これは、宝物じゃない。渇望してる。
また、また。って。
来るはずのないものに執着してるだけ。
当たり前に過ごせる時間が、宝物
なんて、言えたら良かったんだけどな、
宝物
宝物は、自分の頭の中にある。
あまり物欲がないので、
大したものは持ってない。
娘に残して上げられるものは
あまりない。
すまん。娘。
paki
僕が書いた小説の登場人物の宝物は、大切な人から贈られたネックレスとぬいぐるみと指輪
それだけ書くと、いかにもありふれているけど、それぞれの品物にはそれぞれの背景がある
それはともかく、僕自身の宝物は、今はまだない
これから手に入れるんだよ
誰にも見せず大切にしまっておくのも、誰彼構わず見せびらかすのも。
宝物。
宝物
それはとても大切なもの
でも守りたい物がないと
本当の宝物は存在しない
命を賭けてでも守りたいものではなく
その大切な物を見つける時間こそ
宝物なのではないか、と私は思う
あいしてるのことば
こころをすりぬけて
よぞらでまたたいた
ほしをさがしていた
そらばかりみていた
ゆめばかりみていた
すぐにげたくなって
なにかわすれていた
だいじなことなのに
すぐそばにあるのに
『宝物』
君との時間です…♪…♪…♪
君を近くに思う時間でしょ…♪
その笑顔でしょ…♪
…♪…♪…君です🐱
キミ…♪…♪…
「それじゃあ、いくよー」
そーれ、と元気よく振りきった。その棒の先には粉々に砕け散った破片がきらきらと光を反射して静かに横たわっている。
「んー、足りないのか。じゃあもう一回」
そーれ、と力強く叩きつけた。一度、二度、三度四度。
きっとまた足りないと言うだろうからサービスしておいたよ。大丈夫、もう誰にもわからないよ。
「後片付けまでやらせるのか。本当にしょうがないな」
ザッカザッカ、と雑にまとめられて古い新聞紙とともに半透明の袋に入る。ああ、可哀想に。ただでさえ柔い肌が傷ついて血が滲んでしまっているじゃないか。
私がそうさせたのか、そうだね。私のせいだ。
きっかけはあなたの不手際だったけれど、欠けてしまったのは私だもの。大切に、大切にしてくれたあなたを悲しませてしまったのは私。私は役目を終えたけれどあなたはまだ終えていない。だから次を迎えるために必要なことなの。だから、そんなに泣かないで。
いつかあなたが役目を終えたとき、また一緒に過ごしましょう。言葉なんてあなたと私の間には必要ないの。
今までもそうだったように、穏やかな時間を一緒に過ごせるときを私は待っているからね。ゆっくりでいいの、ゆっくりよ。あなたが同じ悲しみを繰り返さないようにゆっくりと慎重に扱ってね。
心とは難儀なものね、少し嫉妬してしまいそうなの。
内緒よ、私はそれだけあなたのことを愛しているの。
【題:宝物】
宝物なんていらない
みんなが
どうにか
生きていてくれさえすれば
辛い時を越えて
なんとか生きて
ーーー宝物ーーー
「どうして失くしちゃうの? あなたの宝物だったでしょ?」
わたしは猫のベルナルドを捕まえて問いただす。あんなにお気に入りで毎日遊んでいたおもちゃを、また失くしてしまったのだ。
「さっきまで咥えて振り回してたじゃない」
彼の周囲を探しても、どこにも落ちてない。ちょっと目を離したすきに、いつだって彼はおもちゃを失くす。
腹が立ったわたしは、パパにいいつけてやることにした。
「パパ! ベルナルドったら、わたしがプレゼントしたおもちゃを失くしちゃったのよ!」
わたしが叫ぶと、パパがリビングにやってきた。
「ああ、それならきっと、彼の宝箱にしまったんだね」
パパは訳知り顔で笑ってる。
「宝箱?」
「ソファの下を見てごらん」
『宝物』
こどもたちはみんな
宝箱を持って生まれてくる
ひとつひとつ取り出しては
光を放ちながら育っていく
何も付け加える必要なんてない
見守るだけでいい
それぞれの色で
美しく輝いていくよ
「宝物」
#253