『ススキ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
月夜に光る
空の下に
そよそよ揺れる
髪色は……
芒色の長い髪
あれよそれよと
秋の風と共に──
(2023.11.10/ススキ)
〚ススキ〛
ススキを見ると、昔を思い出す。
でも、昔に何が起きたのかは分からない。
ただ、その時の感情だけ。
私はいつもそう。
しっかり思い出せないのに、感情だけで考えて答えを出す。
ススキを見ると、いつも自分に嫌気がさす。
でも、ススキに罪はない。
ススキ、
ススキ、
ススキ、、、
某ゲーム二次創作
煌々と輝く満月の下、少女が一人ススキの穂を片手に舞う。
紫の髪が揺れ乱れるが一心不乱に真剣な眼差しで少女はひたすらに舞い踊る。
彼女の持つススキの穂も月の光を浴び黄金色の穂がしなやかに揺れた。
少女の名は零姫、齢1000年の刻を生きる妖魔。
故あって幽界の社に身を寄せている。
傍らには彼女を見守る社の白狐達。
狐の群れの中、一人の人影があった。
少女は、ロックブーケは金色の瞳で舞をじっと見つめる。
彼女の銀青灰の髪は満月の輝きが射し込み淡く照らされていた。
「生から水分が抜けてきたちょうどいい按配のススキがいいのじゃ。枯れきってもダメという。」
十五夜の満月の夜、零姫が毎年行う豊穣の神に捧げる奉納舞。
踊る前に屈託の無い笑顔で彼女なりの神楽舞のための仕草や道具についての拘りを解説されたが━
「その違いが全くわからないわね!」
妖魔というものは揃いも揃って拘りが強くてわからないわ、とロックブーケは呆れつつも零姫の舞踏を見やる。
舞は美しく凛として一つ一つの所作に隙が無い。
ロックブーケは社に仕える妖魔について興味があった。
生来陰の世界の者が何故聖域に仕えるのか、その理由。
聖域には魔に属する者には結界等いくつも巧妙な罠が仕掛けられていてやや入りにくいところがある。
強力な魔の力を持つ彼女には聖域もあくまで物見遊山の場所の一つに過ぎない━
「流れついてどこにも身を寄せる場所の無かったわらわを皆が快く迎え入れてくれたのじゃ、ここは聖も魔も包み込んでくれる。以来社がわらわの家じゃ。」
ロックブーケには仲間達と共に遥か深淵に追放された過去がある。
零姫の流浪の旅で彷徨う者の痛みは痛いほど共感できるのだ。
「…家か、あんたはいい家に出会えて良かったわね。」
舞が終わると零姫がやってきた、彼女の元にはわらわらと労うように白狐達もかけ寄ってくる。
「素敵だったわ。」
「神前奉納だからのう今宵は特別じゃ。」
一匹の白狐が朱塗りのおかもちを持ってきておずおずと零姫に差し出す。
「ありがとう、御神前のお下がりじゃ如何かえ。」
ロックブーケにお猪口を差し渡すと器に神酒を丁寧に注ぐ。
「悪いわね頂くわ、ありがとう。」
朱塗りの器に神酒が滔々と注がれると満月が鮮やかに浮かび上がる。
豊穣の神の夜祭はいよいよ宴も酣(たけなわ)に差し掛かろうとしていた。
【すすき】
「古くからすすきは神様の依り代と考えられていました。
茎が中空(内部が空洞)のため、神様の宿り場になると信じられていたのです。 また、すすきの鋭い切り口は、魔除けになるとも考えられました。 そのため、お月見のすすきには悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味が込められています。」
「ススキ」
月夜に数十本の白い手が誘うススキ畑。
風に揺れてススキの手が誘うのは、異界への入口か、冬の到来か。
ススキ(イネ目イネ科ススキ属)
=薄、芒、須々木、
茅(かや)、萱(かや)、
尾花(おばな)
花穂は荻(おぎ)に似ているが株立ちで区別出来る。
植物遷移最終段階の芒草原を放置すれば、その後、赤松が生えてくる。
🐎尾花栗毛
栗毛馬、栃栗毛馬の鬣(たてがみ)と
尾の毛が白い処が金色に見えるのを
ススキに擬える。
幽霊👻の正体、見たり枯れ尾花。
化け物の正躰、見たり枯れ尾花。
落武者は薄(芒)の穂にも怖ず。
狐火の燃えつくばかり枯尾花。
秋の七草
萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花
また藤袴 朝顔の花
「万葉集」山上憶良
花札🎴カス二枚
芒に月 芒に雁
♪ 〇〇は河原の枯れススキ~
昭和枯れススキ
♪貧しさに負けた~♪世間に負けた~
令和枯れススキ
貧しさに負けた~いいえ試験に負けた~筆記には強いが面接に弱い
54作目 徳博☹️
追伸
十五夜には薄(荻似)と萩(ハギ)と
月見団子。。。。。。
東大寺は別名 萩の寺です!
秋篠寺も萩の寺です!
ス‥スキです。。。スキヤキが?
ススキ、と言えば小学生低学年の頃を思い浮かべる。
あの頃は純粋で、楽しかった。
いろんなことに疑問を持っては、答えを探していくような。そんな生活が楽しかった。
ススキ。国語の時間を思い出す。
よく挿絵として教科書に書かれていたかな。
頻繁に見るものだから、あの頃は特に気に留めていなかっただろう。
今探れば、記憶の隅々にあるススキ。
幼いときからすすきを見ると
秋が近づいてるんだって思う。
今年も秋がやってくる
ススキ
ある夜の野原。
その日は風が強く、ちょっとやそっと話してもヒトには聞こえない。
だから、第1回ススキ会議は紛糾した。
「かの毛無し猿共は我らの身体を踏み折るのだ! これ以上、黙って同胞の死を見とることなどできぬ! よって、猿共が触れたら泡を吹くような毒を、我らは持つべきである!」
穂先が紫がかったスズキは言った。
彼は五体満足派と呼ばれるススキの過激派で、ヒト科ヒト属ヒトを毛無し猿と呼ぶ品のないやつだ。ファッションと称した紫ツンツンの穂先は、ヒトを怯えさせ近づかせないようにする武器らしい。
「そうは言うがね。そんな強毒を我らは内包し、かつ、これまで通りの生活ができるというのかね」
私は言った。
「不可能では無い、と考えています」
紫ツンツンの隣、やけに鋭い葉っぱのススキが言った。
「過去、私たちはセイタカアワダチソウ共の毒に犯され根を枯らしていました。しかし現在、私たちにとってかの毒は水をすするように取り込んでいます。よって、長期的観点から、強毒を取り込み、これまでの生活を遅れると考えます」
「ふざけるな!」
私の隣、まだ若い種子を身につけたススキは言った。
「アンタの言い分だと、ようは幾らかの俺たちは死んじまうんだろ! 」
「……ええ」
「ふざけるな! 俺やお前はともかく、じいさんや紫ツンツンだって倒れる可能性があるんだ! そんな不確定で危ない橋を、ススキ全体で渡ろうだなんて間違ってる! 」
……ふむ。
気持ちは嬉しいのだが、少し言葉が強すぎる。第1回ススキ会議は主張をぶつける場であるが、否定する場では無い。――まだ若いからであろうが。
案の定、
「ふむ。間違っている、とは?」
と鋭い葉っぱのススキは言いながら、ケイ酸を葉先でふしゅふしゅとたぎらせている。
「まぁまて」
私は言った。
「毒を持つことはヒトへの対応策の一つとして効果的だろう。だから、毒を持った後、ヒトがどんなことを考えるのか、考えようじゃないか」
「……ええ。それもそうですね」
鋭い葉っぱのススキは言った。
「それじゃ!」
若い種子を身につけたススキが言った。
「君の気持ちは本当に嬉しいのだよ。だけどね、私たちはもしかしたら、ヒトの手によって絶滅するかもしれないんだ。その危機に耐えるための毒で死んでしまうのなら、私は構わないのさ」
「……」
「それで、どうかね?」
「はい。人に対する毒を持つことで、人に刈り取られる可能性があります」
鋭い葉っぱのススキがそう言った瞬間、
「どういうことだ!」
と紫ツンツンは言った。
「触れられないための毒があるのにどうやって刈り取られるというのだ! 」
「彼らは道具を使います。鋭い刃は彼らの手を汚さずに、私たちの身体を、首を、いとも容易く断ち切るのです」
その言葉に議会の誰もが絶句した。
毒を持ってなお……。
勿論ヒトが道具を使うことを、知らなかった訳では無い。
どう、どうすれば……。
満月が頂点に達した。
「ここまで! 本日のススキ会議は終了! 続きは次の月が満ちるとき。以上。解散! 」
これまでじぃっと黙っていた背のいちばん長い議長ススキが言った。
すると風はふと止んで、荒野はすっかり静かになった。
おばあちゃんが言ってた。
「ススキが原のススキは取ってはだめだよ」
「どうして?」
「あれは神様のものだからね。私たちが取ったらいけないの」
「……ふーん。あんなに沢山あるのに神様ってケチなんだね」
田舎に住むおばあちゃんちの近くでは秋になるとススキ祭りがある。小学生の頃は毎年お母さんと二人、祭りのために里帰りをしていた。
ススキ祭りというだけあって、祭り会場周辺には沢山のススキが生えている。とりわけススキが原と呼ばれる一帯のススキは、大振りで立派なものだった。
ある年の祭りの夜、どういう訳だかぼくはひとりでススキが原の近くの外灯の下に立っていた。お母さんが忘れ物をちょっと取りに帰る間だけそこで待たされたとか、そんなことだったろうとは思う。
外灯の少ない田舎道、僅かな灯りに群がる羽虫たちの近くに居るのは気持ちが悪い。ぼくは灯りの輪から外に出て、さわさわと揺れるススキが原に近づいていた。少し欠けた月がやけに大きく見える。柔らかな月光に照らされてそよぐ黄金色のススキは、確かに神様のものなのだと、そう思わせるような光景だった。
ぼくはススキに手を伸ばした。ほんの好奇心。ぷちっと一本引っこ抜いた。
ゴォッと唸るような音とともに、体が吹っ飛ぶ勢いで突風が吹いた。咄嗟に目を閉じて足を踏ん張る。
「えっ!?」
目を開ければ周囲をススキに囲まれている。さっきはススキが原の縁に居たはずなのに。
「えっ、えっ??」
取り囲むススキの高さはぼくの背を通り越している。ぼくは少し小高くなったところへ登って、ススキより上に顔を出した。右を見ても左を見ても、振り返ってみたってススキ、ススキ、ススキ。どちらへ向かえばさっきの場所に戻れるのか分からない。
再び強い風が吹いた。
風上へ目を向けるとススキを左右に割り開くようにしながら道ができはじめる。その道はザザザザ……と忙しない音を立てて段々とぼくのほうへ伸びてくる。目に見えない何かがススキを踏み倒しながら、ぼくに向かってきているかのように。
ぼくはぴょんと飛び降り、迫ってくる『何か』とは反対方向へ駆けた。
「はぁ、はぁっ、はぁ……」
目の前を塞ぐ、終わりのないススキの波を掻き分けながら進む。よく見えない地面もデコボコしていて足がもつれる。もう心臓は破れそうに痛い。学校の持久走だってこんなになるまで走ったことなんてない。
「うわっ!」
足が滑って顔からすっ転んでしまった。
「ってぇ……」
一度座り込んでしまえば立ち上がれそうにない。顎も痛いし、膝だって……。膝にすり傷ができていた。すり傷の泥を押し避けて血が滲みはじめるのと同時に、ぼくの目にも涙が滲んでしまう。
「う、うぅ、うわーーん!!」
ぼくは大声で泣いて泣いて、多分「お母さーん!」「おばあちゃーん!」とか叫んでいたと思う。
その後のことはよく覚えてないけど、気づけばおばあちゃんちの布団の上だった。高い熱を出して寝込んでしまったのだ。
「ススキがね、ススキが……きのう」
この恐ろしさをお母さんに伝えようとしたけど、上手く言葉にできない。
「お祭り行けなくて残念だったね。高熱で悪夢を見たのね」
お母さんは落ち着かせるようにぼくの頭を撫でて言った。でも本当にそうかな。あの時感じたゾワゾワと何かが迫ってくる恐怖は、夢とはとても思えない。……すり傷だって残っていたしね。
大人になった今でもススキを見かけると足が竦む。嫌な汗が吹き出て、息苦しくなるのだ。これもある意味、ススキアレルギーと言えるのかも? 抗アレルギー剤なんて効くわけもない。息を深く吸って吐いて、心を落ち着けるしかない。
だからぼくは遠回りしてでも、できるだけススキのない道を選んで歩いている。
#9 2023/11/10『ススキ』
月を眺め、彼女が謂う。
『ステキ。あたしもこうなりたいわ』
君もステキだよ。僕が謂う。
彼女は照れ笑いで「フフフ」と笑う。
僕はずぅっと彼女の隣に居たい。
___
「見たぁ?あの人。気持ち悪いわよねえ、悪いけど」
「見た見た。ススキを奥さんがわりにして、一緒に月見なんて。気持ち悪い」
______
「ススキを愛す」
ススキ
ススキの花言葉は「活力」「 心が通じる」だそうだ。
心が通じるという素敵な花言葉だと知って驚いた。
もっと深く知りたい。そう思う人が僕にはいる。
これからススキを見かけたら心が通じるように思いを馳せるだろう。
#ススキ
サワサワと風に吹かれてススキの揺れる音がする。
僕は思い立ってススキを活けて、団子を用意し、熱いお茶と共にベランダへ出た。
時期は違うかもしれないけれど、これだって立派なお月見だよな、と久しぶりに月を見上げた。
ススキと月…画になりますよね。実際はあんまり見たことないけど、夜出歩かないしね。夜、そういう風景の場所に出かけると、大体、狐か狢が居ますね。
ススキ
学校に向かう途中、背の高いススキが生えている場所がある。その向こうにはいつも人影があって、背の高い髪の長い人だ。顔を見たことはないし、なんならシルエットしか知らない。でも、僕らにとっては綺麗で、とてもかっこいい人だという認識が生まれていた。その人はそのまま、ススキにいる(多分)お姉さんで、ススキさんと呼ばれていた。
昔、僕の親戚にも似たようなお姉さんがいた。とても長い綺麗なロングヘアーで、肌が白いおばけのような。でも、僕にとっても優しくて、憧れだった。
友達と一緒にそこを通ったり立ち止まって見えないか軽く探ってみたりもした。でも、誰もススキで覆われている先を見てお姉さんの正体を確かめようとする人はいなかった。夢を壊したくなかったのか、会っても意味がないと思ったのか、他に興味があったのか。僕にはわからないけれど、何日かする頃にはみんな飽きて、他の方に興味を寄せていた。僕も子どもだけど、子どもは移り変わりが激しいなと思った。そして、熱心にススキを見る僕はいつのまにか変人扱いされるようになった。
ある日、僕はススキの先を見ることにした。
ススキが枯れたらどうせその先が見えるからと何もしないでいた友達のことを思い出した。でも、ススキが枯れてからだとお姉さんが、ススキさんがいなくなってしまいそうな気がした。ススキをかき分けて奥に進んでいく。僕は時間がかかることを覚悟して時計と、軽いおにぎりを持ってきていた。でも、余計だった。なぜなら、思っていたよりあっさりと、ススキの向こうに辿り着いたからだ。まぁ、お姉さんの影が見えるくらいだし、そんなにたくさんあるわけはないんだけど。そして、ススキさんを探して首を左右に振る。でも、そこにお姉さんの姿はなく、小さなお墓がポツンと立っていた。そこに近寄ると、僕と同じ苗字がかいてあった。下の名前は読めなかった。自由帳を持ってきていた僕は、その名前をメモして、墓の見た目をかいて家に帰った。
その名前を見せると、おかあさんはこの名前、、、と言って悲しそうな顔をした後、すぐいつも通りに戻ってこれは、親戚のお姉さんの名前だよ。と教えてくれた。親戚といっても近くに住んでいて、僕が小さい頃はよく遊んでくれたという。僕は、記憶の中のさらさらの髪と優しい笑顔を思い浮かべた。お姉さんは僕が4、5歳くらいのときに引っ越したときいた。なんでお姉さんの名前がかいてあるのかわからないけれど、他の場所にも名前みたいのがかいてあったから、そういうものなのだろう。次の日、僕はお墓に行った。
家に生えている花をおかあさんにおゆるしをもらってから取って来た。だって、お姉さんの名前が入っているくらいだから、お姉さんの大切な人だろう。お姉さんの大切な人なら、僕も大切にしたい。
それに、この場所は不思議でお姉さんと遊んでいたことがよく思い出せるような気がする。僕は、この場所を秋だけの秘密基地に決めた。
もちろん、今もだれにも教えてないよ。
「ススキ、……すすき……?」
そういやススキの見頃って、もう終わったの、ピークなの。某所在住物書きは、題目の通知画面を見てハッとした。身近な植物だが、それゆえに詳細を知らぬ。
盲点であった。青天の霹靂であった。
ひとまずルーチンワークとして、「ススキ」をネット検索してみるに、ススキはイネ科の植物だという。
世にはススキに似たオギとアシがあるらしい。
「ススキと、オギと、アシ……?」
画像検索してみるも、どれがどれだか分からぬ。
「ススキに似た別の植物」のネタは、自分で説明できないから、やめておこう。
物書きはそっと検索結果を閉じた。
――――――
最近最近の都内某所、某稲荷神社お庭の一角は、稲の仲間のススキがこんもり。ちょっとした大所帯です。
見頃はピークか、少し過ぎた頃。ふわふわ、稲穂のように風に揺れる揺れる。
敷地内の一軒家には、人間に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、
そのうち末っ子の子狐が、たまにこの小さく大きなススキ野原に潜り、コンコン、走り回るのです。
何度も踏み倒したススキは、小さな獣道になります。
何度も踏み倒したススキは小さな部屋にもなります。
コンコン子狐、ススキ野原の奥の奥に、ススキを倒して部屋を作って、今年も秘密基地を開設しました。
ひとりじめしても楽しいけれど、仲間を呼んだほうがもっと楽しい。
コンコン子狐、雑貨屋さんの猫又子猫と、和菓子屋さんの化け子狸を誘って、ふわふわごろ寝座布団とぬっくぬく毛布を持ち込み、あったかいお茶を飲みながら極秘会談ごっこを始めました。
「春にお店畳んで福島に行っちゃった、大化け猫の駄菓子屋のおばあちゃん、いるでしょ?」
にゃーにゃーにゃー。猫又子猫が雑貨屋の、新商品の蓄熱クッションをふみふみしながら、言いました。
「お手紙貰ったんだけどね、嬉しいことがあったって。『学校時代に駄菓子屋で食べた、ランチクレープの味を今でも思い出します』って、昔の常連さんがわざわざお礼のお手紙書いてくれたらしいの」
「先月だ」
コンコン子狐、子狸が練習で作ったという練り切りを、お茶と一緒に楽しみながら頷きました。
「10月13日だ。どうなったの?」
子狐は子猫の話の背景を知っていました。だって先月の過去作が、そういうおはなしだったから。
子猫の言う「わざわざお手紙書いてくれた」という「大化け猫の昔の常連さん」の、お手紙を大化け猫に届けたのが、子狐のお母さんだったのです。
話に全然ついて行けないのが、せっせとお茶のおかわり用のお湯を沸かすポンポコ子狸。
駄菓子屋さんがお店畳んだのは、知ってるけどなぁ。
「おばあちゃん、嬉しくて嬉しくて、ランチクレープのレシピ、お返事のお手紙で教えてあげたって」
「それで?」
「そしたらまたお礼のお手紙が来て、職場の先輩と隣部署の主任さんと一緒にクレープ食べてる写真、コンビニでプリントして数枚入れてくれたって」
「トナリブショノセンパイ?」
「隣部署の『主任さん』」
「知らない」
「大丈夫。わたしも言葉しか知らない」
「キツネ、言葉も知らない」
「……人間と、化け猫の、文通だって」
子狸が淹れたほうじ茶2杯目を受け取って、猫又子猫、ほっこりため息吐きながら、呟きます。
「人間、おばあちゃんが化け猫だって知ったら、どうするのかしら」
「べつに、どうにも、ならないんじゃない?」
だってキツネも、修行で人間のおとくいさんに、お餅売りに行ってるもん。コンコン子狐平然と、なんの疑問も無く答えました。
多分それは「稲荷神社の子狐」だからで、他の猫とか狸とかは、少し対応変わってくるんじゃないかな。
ポンポコ子狸は茶がらを捨てて、新しい茶っ葉を急須に淹れながら、ポンポン、胸中で思います。
さらさらさら、サラサラサラ。
子猫と子狐と子狸の密会を、ススキ野原のススキはただ見守り、聞き流し、
こっそり綿毛を吹いて、子猫と子狐と子狸の毛にくっつけ、イタズラをしておるのでした。
おしまい、おしまい。
―――「ススキ」
保育園の頃はススキを見つけると、「なにこれ〜!」って
はしゃいでたな……
最近はあんまりみてないな〜ススキ。
今度ゆっくりお散歩して、ススキさんに出会ったら、
「私16歳になったよ。」って報告しよう。
あの頃のことを思い出しながら―――
ススキ
秋になると道端にススキがたくさん生えてるよね。
ススキがたくさんあると秋が来たんだなってわかるから風情あっていいよね。
風が来るとススキも風に煽られるし、涼しい風だとなんか秋だなぁって感じることができるからいいね。
終わり
パンパスグラス
ススキのような立ち姿
班入りの葉が美しくて
これが欲しかったのと
実家の庭に招き入れた
母はとても嬉しそうだ
ガーデニングが趣味で
朝から晩まで庭にいる
石蕗の花が咲いたのと
床の間に生けた写真が
夜遅くに送られてきた
秋の終わりに咲く花で
霜が降りると蕾のまま
終わってしまうらしい
何年かぶりに見れたと
その文面から喜ぶ姿と
慌てて家の中へ入れた
母を思い、ふふと笑う
庭にある草花のお陰で
母の人生も彩りがある
有り難いことなのです
下校路
名前も知らない雑草を
触り帰った日
血の流れる親指と
ほれみろと嗤うお前
下校路
名前も知らない雑草を
集め帰った日
ススキだって喜ぶお前を
それススキじゃないと嗤う
あれ名前なんなんだろうな
ススキ
お月見に
欠かせない
って言うけれど
実は
お月見前には
あまり
育ってなくて
お月見の飾りのために
必死に
探しに行ったなぁ。
プライベートも
全部
仕事に
支配されてた
あの頃。
これは修行期間って
思ってたけれど
そりゃあ
あんな働き方してたら
潰れちゃうよね。
#ススキ